子 ―ネズミ―

 新年明けましておめでとうございます。


 本年もよろしくお願いいたします。


 さて、元旦と言えば年賀状である。

 言うまでもなく今年は子年なので、ネズミのイラストが描かれた年賀状を送ったという人も多いだろう。


 しかし環境調査業界だと、やはりというべきか、ネズミにちなむ生き物の写真を送って来る人が多い。

 特に会社から送られてきたものだと、調査中に撮影したらしいアカネズミやヒメネズミの写真が載っていたりする。


 筆者は、ネズミのトラップ調査の手伝いはした事があるが、年賀状に使えるようなネズミの写真はさすがに持っていない。


 では、昆虫はどうだろうか。


 まず何が思いつくかというと、ネズミに寄生するネズミノミやネズミジラミの仲間。さすがにこれはダメ。写真も持っていないけど、年賀状でこんなものの写真を送られたら今年一年どうなる事やら。


 植物に「ネズ」という名の種がある。

 NPCに植物の名が付けられることでお馴染みのポケモンシリーズにおいて、最新作(注:執筆当時。2019年11月発売の剣盾のこと)でジムリーダーに抜擢されたあのネズである。

 別名、というか名の由来はネズミサシ、漢字で書くと鼠刺しとなる。

 現地調査票に手書きでネズミサシと書いておいて、あとでアルバイトさんに入力を頼むと、時々ネズミサンと誤入力されることでお馴染みの、あのネズミサシである。


 松の葉を短くして数を増やしたような姿をしている。山登りや藪こぎの途中でうっかり掴んだりすると、結構痛い。

 実際にこのネズ、ネズミ避けに使われたりするらしい。

 一年の始まりに、干支を追い払うようなものを掲げるのはいかがなものか、というわけでネズもボツ。


 ネズの葉を食べたり、汁を吸ったりする昆虫もいる。ネズミを退けるネズミサシを取り除き、干支を招き入れると考えれば、縁起が良いと言えないこともない。

 ただ、数種のをはじめいくつかいるが、どれもマイナーでマニアックなのが玉にきず


 植物には、ネズミモチという名のものもある。名の由来は、実がネズミのふんに似ているから。やっぱりボツ。


 の仲間には他に、ネズミホソバとキベリネズミホソバとか、ネズミを冠する種がいて、これは色が鼠色だから。鼠色というと灰色であり、地味な色をしている。翅を閉じて止まっている姿は、知らない人が見ると何だかわけのわからないものである。


 結局うちの年賀状がどうなったかは、秘密、とさせていただく。

 この文章と年賀状を見比べて、あれ……となるような事は……読者少ないしまあないだろうけど。


 今年は読者の人がもっと増えますように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る