漂流挿話(1)

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



クロ・ト・ジュノーは、西域の王の城の地下の遺跡から消失した後、元の世界へ戻る途中、様々な空間軸・時間軸を漂流していた。



ある時、ある場所では、彼の体は半透明であったし、


ある場所では、おしゃべりな朝顔と楽しく会話した。



ある時、ある場所では、彼の体はまったくの別人のようであったし、


ある場所では、深く誰かと恋をした。



ある時、ある場所では、ざあざあ振りの雨の中、


二匹の雨蛙を捕まえようとした。



ある時、ある場所では、決して見てはならぬモノを見た。


それはすぐさま彼の記憶から消されてしまったけれど。



ある時、ある場所では、そこは島であり彼はとても穏やかな気分でいた。


島の名は限界島といった。博士が愛した島である。



◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇


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