第三章 ≪西域の王国≫
西の町へ
クロ、シロ、アオの3人は、カモノハシと共に西の町へと向かっていた。
真昼は強烈に暑くなるため、移動するのは早朝と日が沈むあたりの数時間のみとした。
クロ王子は、ターバンを巻くのが上手くならず、カモノハシがかいがいしく巻いてあげていた。
「ニジュウヨジ、いつもすまぬな。」とクロはカモノハシに言った。ニジュウヨジとは、このカモノハシの名前である。
西の町まで行く間、相変わらず食べるものは砂漠ガエルばかりだった。水は時折降る雨水を溜め、また、ところどころにある湧水を利用した。
ただ、アオはほとんど食べなかったし、ほとんど水も飲まなかった。かなり省エネな体質であるらしい。
湧水のある場所では、シロは、たまには体も拭いた方が良いだろうと言い、アオやニジュウヨジのいる前でも構わず素っ裸になり、全身を布で拭いた。
クロ王子は、カモノハシとはいえ同じ年頃の少女の姿をした者の前で裸になるのは気恥ずかしいのか、シロのように素っ裸にはならなかった。
とはいえ、やはりカモノハシはカモノハシであり ' ニンゲン ' の異性には興味がなさそうであったが...。
ニジュウヨジはアオに頼んで、カモノハシの姿に戻してもらい、バシャバシャと水浴びした。
人間の姿に戻してもらうと、ニジュウヨジも裸であるため、クロはドギマギした。
西の町までは、数日かかり到着した。
この町には赤い衣を纏った騎士がいるはずだ。とアオが言った。
「私がいると"いらぬ争い"にもなりましょう...私は町の外で待っております。」
「そうか。」シロは少し不安そうな顔をした。クロはシロがそんな顔をするとは意外に思った。
「騎士どもも"子供"には手を出さないかと思います。」アオは少し微笑むように言った。
何も起きぬと良いが...。面倒事が起こりそうな予感がしていた。
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≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。
・ニジュウヨジ ・・・ オアシスにいたカモノハシ。アオの能力により少女の姿になっている。
・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。
・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。
・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。
・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。
・蒼井瑠香 ・・・ 医者。
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