インタールード(2)
森の向こうのバー 〈カモノハシの大僧正〉
' やたらと太ったカモノハシ ' は男を追いかけてやっとのおもいで『森の向こうのバー』にたどり着いたのである。
大僧正はカウンターにうつ伏せで眠りこけていた。
「イチジ大僧正さま、イチジ大僧正さま、、起きて下さいませ。」
「おおジュウイチジではないか。いかにも私は大僧正である。西域の王に大僧正に任命され早20年である。」とイチジ大僧正と呼ばれたカモノハシは答えた。
「ジュウイチジよ、私は眠りこけていた。おそらくあの男に眠り薬を盛られたのであろう。」
' やたらと太ったカモノハシ ' はジュウイチジと呼ばれていた。
「イチジ大僧正さま、たぶん、お酒に酔って眠っていただけでございます。あのお方は薬など盛らぬでありましょう。」
「そうかの、ワシは酒に酔ったのか。弱くなったものだのう。歳を取ったものだ。」
***
「それより『玄界灘』の声が聞こえたように思ったが、、、。」大僧正は言った。
「『玄界灘』...『白』様でございますか、私が来たときにはおりませんでしたが、、それより私は ' あのお方 ' を追いかけて来たのでございますが、、どうやら入れ違いになってしまったようでございます。」
「ワシが寝ているうちにどこやらへ行ってしまったようだな。」
「ああしかし、どこだかの時間軸で ' ナダの力 ' を使うものがあったようだ。ううむしかし、ずいぶんと原始的な時間軸のようだ。」
「はい、かなり太古の時代のようです。しかし、私達にはその時間軸がどの空間軸かわかりませぬ。」
「どのみち『玄界灘』の小僧の仕業じゃろうて。」
「『白』様はここへ戻ってきますでしょうか?」
「どうかの、気ままな奴だからのう...。」
' あのお方 ' は大丈夫だろうか。とジュウイチジという名前のカモノハシは心配した。
-----------------------------
≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。
・男 ・・・ 謎の男。
・イチジ ・・・ 森の向こうのバーにいるカモノハシ。大僧正。
・ジュウイチジ ・・・ やたらと太ったカモノハシ。
・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。
・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。
・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。
・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。
・蒼井瑠香 ・・・ 医者。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます