不倫の相手
外ではその雑居ビルの階段をドカドカドカっと駆け降りる音、しばらくしてドカドカドカっと駆け上ってくる音がしていたが、よう子はそういった騒音はあまり気にしないことにしていた。
このビルを出入りしているのは、どうせろくな連中ではないのだ。
昼前に、よう子の事務所の呼び鈴を鳴らす者がいた。今日は依頼者が来る日だった。
依頼者は女性だった。
「こちらへどうぞ。」
「こんにちは、ええと、初めましてと言って良いのかしら。」と依頼者の女性は言った。
その女性は20代後半くらいだろうと思われた。
「初めてではありませんか?」とよう子は聞き返した。
「ああ、ええお会いするのはほぼ初めてですね。ごめんなさい。おかしな言い方して。」
その女性は少し間をおいて、
「以前、私の夫だった人が先生のお世話になりまして、、ええ不倫をしていたのは私ですから、悪いのは私なんですけど。」と言った。
よう子は、面倒なのが来たかしらと思った。
「夫とは離婚をしました。私は自分の伯父と不倫の関係でありましたからね。それは離婚になりますよね。」
数年前、確かにそんな案件があったな。
伯父とも別れました。と依頼者の女性は言った。
その女性との面談中、よう子の事務所に男が二人、大きな音を立てて入ってきた。
その二人は堅気ではない雰囲気、ありていにいえばヤクザだった。
「姐さん、ていへんなことになっちまいやした。」と男は言った。
よう子はため息をついた。
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≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。
・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。
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