インタールード(1)

森の向こうのバー 〈蛇の道〉

' 年老いたカモノハシ ' はバーのマスターにバーボンのロックをもう一杯注文した。


「お前さんもやるかい?」


男は迷ったがコクリと頷いた。


バーのマスターが注文の品を持ってくると、' 年老いたカモノハシ ' は美味しそうにチビチビと飲んだ。


男は本当はバーボン特有の甘ったるい匂いと味はあまり好きではなかった。


しかし、' 年老いたカモノハシ ' の好意に応じるため、少し口につけた。やはり甘ったるい匂いと味がした。


「俺は、俺も昔は・・・王の・・・」


カモノハシは何かを言いかけ、しかし、だいぶ酔っていたのか途中で眠ってしまった。



「もう帰った方がいい時間にょろよ。ここは〈行きはよいよい帰りはこわい〉にょろよ。」


男の足元から声が聞こえた。そこには一匹の蛇がいた。


「店の勘定は、カモノハシの爺さんのおごりにょろ。気にすること無いにょろよ。」


帰り道は危ないにょろから、俺が案内するにょろ。ついてくるにょろ。と蛇は言った。


男は蛇の言う通りに、ついていくことにした。



そこは毒の沼にょろ。気を付けるにょろ。


蛙がいるにょろ。毒蛙にょろよ。


蛇はするすると森の中を"歩いて"いった。


「そこに落とし穴があるにょろ。気を付けるにょろ。」


蛇は落とし穴を避けて行ったが、男は酔っていたのか落とし穴に落ちてしまった。


蛇は先に行ってしまい、しばらく男がついてきていないことに気がついていなかったが、男がいないことを知ると落とし穴まで戻ってきた。


「あれ?落ちてしまったにょろか?」


確かに穴の淵に足を滑らせたような跡があった。


「落ちてしまったにょろね。大変にょろ。大変にょろ。」


蛇は慌てふためいたが、蛇が慌てたところでどうとなるものではなかった。


「仕方ないにょろね。」と言って、蛇は目をギュッとつぶると落とし穴の中へと落ちていった。





------------------------------

≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。

・男 ・・・ 謎の男。

・蛇 ・・・ 謎の蛇。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る