王の試練

「ワタクシはクロ様にこの世界を案内する必要がございます。クロ様が王となるための試練なのでございます。」


「しばらく西へ歩きますと、小さな町があるはずでございます。」


「ナダ様とそちらの〈死神〉のお方もどうかご一緒くださいませ。」


それにしても、この姿では皆様の歩く速さについていけません。とカモノハシは言った。


「〈死神〉アポトーシス・オルガ様、ワタクシを"ニンゲン"の姿にして頂けませぬか。」


「〈死神〉と言うな。アオと呼んで欲しい。」と言い、顔につけていた牛の頭蓋骨を模した仮面をとった。


アオは透き通ったような肌をした美しい顔をしていた。



アオは唇に指をあてて、カモノハシに息をフーっと吹きかけた。するとカモノハシはスライム状の塊となった。


そして再び息を吹きかけると、スライム状の塊は少女の姿となった。ちょうどシロやクロと同じくらいの背丈の少女であった。


少女は裸であったため、クロ王子は目をそらすように後ろを向いた。


アポトーシス・オルガは、自分と同じ色の青い衣を少女に着せてやった。


「カモノハシ、お前、女だったのか?」とシロが聞いた。


「女?ああ"ニンゲン"のメスということですね。はいワタクシは女でございます。」



「ナダ様、西の町へ行きましょう。」


ナダは、俺のことはシロと呼んでくれと言った。





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≪登場人物紹介≫

・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。

・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。

・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。




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