朝顔達のオアシス
「オアシスはおそらく、あちらの方向でございましょう。」
朝顔は顔をすぼめて、太陽が昇ってきた方とは逆の方向を指し示した。
「' ニンゲン 'の歩く速さなら、数十分でつくくらいの距離かと思っております。」
朝顔は言った。
ナダ様、どうかお元気で。
***
シロ達は朝顔が指し示した方向へと歩いていくことにした。
道中、シロはクロが纏っている衣のすそを踏みつけた。当然のように、クロはすっ転んだ。
「あ、ごめん。」シロは謝ったものの、少ししてから、もう一度すそを踏みつけた。
「あ、ごめん。ごめん。」
「お前、わざとやっておるだろう?」クロはかなりムッとした顔をして言った。
「あははは、わざとに決まっているだろう。」
「お前は、お前は、、お前は余をバカにしているのか?」
シロはさらに大笑いした。クロは怒って何かわめき散らかした。
シロはそれでも笑っていた。
***
朝顔が示した方向へ数十分歩くと、確かに小さなオアシスがあった。
水辺には、たくさんの、本当にたくさんの朝顔が咲き乱れていた。
朝顔達は口々にナダ様、ナダ様と言っていた。
「ナダ様、私達は私達のお母さまのお母さまの娘の娘・息子でございます。」
「ナダ様が私達のお母さまのお母さまを助けて下さって以来、少しずつ水を溜めやっと小さなオアシスをつくることができました。」
「ですから、ここはナダ様のオアシスでございます。」
「水の中に奇妙な生き物が住んでいます。本当は追い払いたいのですが、私達は何もできずにいます。」
「しかし、あの生き物は害はなさそうでなのでございますが......。」
朝顔はそういって、水の方を見た。
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≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。
・朝顔 ・・・ 砂漠に咲く不思議な植物。人間の言葉を話す。
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