主人公がドワーフな理由

 つい先日、浮かんできました。

 

 ホビットやエルフが主役(かそれに近い)の有名作品なら、すでにある。

 ドワーフを主役とした、ファンタジー小説は少ない。ただそれだけで、私も当初は書いてました。でも一皮むけました。


 もっと強い理由が出てきたんです。それは、現代日本が「低欲社会」となってきていること。「団塊の世代」の名付け親、堺屋太一氏が使い始めた言葉です。


 良くも悪くも、現代人はお金を使って消費活動をし、経済を回すことで。貨幣経済という「虚構が現実に力を及ぼす」仕組みを機能させています。

 環境破壊だとか、資源の浪費だとか。負の側面ももちろんある。でも誰もお金を使わなかったら、世の中が回らなくなります。


 人々が消費をしなくなると、誰にもお金が回らなくなる。世の中が全体的に活力を失い、夢も失われて冷え込んでくる。大いなる冬の到来です。


 そんな世の中を変えるのは、やっぱり大きな夢でしょう。言い換えると欲望。

 ファンタジー世界の住人、ドワーフのイメージには。大酒飲みで食い意地が張ってる、優れた職人技を持つなどのイメージがあります。中にはこんなヤツもいます。


1)素晴らしい首飾りブリーシンガメンの対価に、女神フレイヤに夜伽を要求した者2)黄金を独占しようとした挙句、ドラゴンになってしまったファフニール


 ふたつとも拙作「勇者になりきれ!」でネタに使っています。

 欲望のコントロールを誤ると大変ですが、欲自体は人類の進歩に必要なものです。


 国連で提唱されたSDGs、持続可能な開発目標17個なんてのも。

 今だけ楽しければいいから、はるか先の未来まで楽しい世界に。そんな欲から出てきたものです。


 ガツガツしたおっさんを、昭和の負の遺産みたいに叩くのではなく。現代の事情に合わせてアップデートした上で、世の中に活気をもたらすために役立てる。そんな、前向きな姿勢がいいんじゃないかと思いました。


 低欲社会を打破するキャラクターとしてのドワーフ。北欧神話の神々が使う神器のように、素晴らしい道具や作品を作り出しながら。溜め込んだ黄金を独占せず、皆を助けるために役立てる。

 ドワーフ界に新風を吹き込んだ、可愛らしいロリドワーフの女の子たちみたいに。ポジティブな意味で貪欲に、現状に満足することなくより良い方向へ世の中を変えてゆく。

 そんな意味を「ドワーフ主人公」に込めてみたらどうだろうと閃きました。


(ロマサガっぽい電球の閃く音)


 元より、ドワーフは欲深い種族です。

 そんな彼らがどうして「ファンタジーの名脇役」なんてポジションに長年収まっているのか、変だと思いませんか?


 こういう他の人と違う発想、着眼点を見つけられると。

 あなたの創作にもきっと、力になるでしょう。

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