彼はいつも砂時計を持ち歩いていて

 僕の友達に変な奴がいる。彼はいつも砂時計を持ち歩いていて、ちょっと立ち止まる時、どんな平らな場所にもそれを置くのだ。


「なんでそんなものを毎日持ち歩いているんだよ」

「すべて時間通りに過ごすためさ。たとえば、僕が食事をするのに15分」


 と彼は答える。


「それを越えていたら、僕はちょっとどうかしてる」

「15分越えてなくても、君はもうどうかしてるぜ」

「まあ健康管理とでも思ってくれよ」


 と彼。


「立ち話も5分くらいならいいものさ。だけど10分は長すぎる、と思っているんだ、僕は」


 そう話している間に砂が落ちきった。


「ね、ほら。次の講義に遅れると困るから、じゃあな。また後で」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る