第91話【👻霊感少女カスミ④】
とにかく涼さん(薄毛)の悲しい過去はわかった、そりゃ成仏出来ないよね。
「ほんで、どないやの!具体的に何か計画はあんの?」
蒼君とヤッシーに聞いてみた。
「そのイジメっ子河原崎慎太郎君の背後に憑いて見ようかなと思ってる、もちろん最初の計画通りにまずは夢の中に侵入してみる」
小学生の蒼太が発言した。
小学1年からすると5年はかなりお兄さんだと思うけど、いきなり大人が憑くよりも自然だろう、背後霊に自然か不自然かなんてあるのかはわからないけれど、一番歳も近いし、こちらの話にも耳を傾けてくれるかもしれない。
まぁ幽霊の話をちゃんと聞くかはわからない、でも経験上、私はその頃から金縛りにあった時なんかは、わけのわからない存在にも話しかけたりしていたしなぁ、まぁ返事してくれるのは3人に1人位だったけど。
とにかく当たって砕けろ。
「さっそく今晩から頼むわ」と私が言うと、「もちろんだけど、その報酬はキッチリと貰うからね」
うーん、なんともがめつい奴、もちろんその報酬とは、パソコンとスマホの使用時間の延長だ。
ついでに私は日頃からの疑問を口にした。
「そんなん、直接ユーチューバーに憑いたらいいんちゃうの?手っ取り早いし、私なんかの背後にいるより……」
そうツッコんだ私をジト目で見ながら蒼太は言った。
「あのさ、例えば手品の種明かしを見ながらマジックを見てもつまらないでしょ、それと同じだよ、僕はちゃんと完成された物がみたいだけだよ、それにカスミ姉ちゃん面白いし」
なるほど、だと思う。
てかなんでやねん!何が面白いやねん。
でも、蒼太の言うことも一理ある。なんで小学生に感心してるのかは癪に障るけど、仕方ない。
「ほんでヤッシーは何を担当すんねん」
ソファーでウトウトしているヤッシーに声を掛けた。
慌てて背すじを伸ばすヤッシー、なんでコイツ、ビクビクしてるんだろう?
もしかして私って怖い?
「僕はさ、お母さんの方に憑いてみようかと思ってる、こうみえて、僕はイケメンだし女子には人気あったからね」
ちょっと棒読みだけど、必死で覚えたのかスラスラと言う、これはきっと蒼太の入れ知恵だろう。
なんかこれも癪に障る触るけど、ブサメンよりイケメンの方が良いに決まってる。
「でもさ、ヤッシーは女子に話しかけるの大丈夫?コミュ障やのに」
「だ……だからさ、次に生まれ変わった時のために、い、今のうちに慣れて…………おこうかと思ってる」
この質問は想定外なのか、しどろもどろになるヤッシー。面白すぎる。
何か、頼りないけどこれも当たって砕けろだ。
遠くから聞き耳を立てている涼さんの方に手を振って見ると、何か不思議そうな顔をしながらも、大きく頷いて手を振り返してきた。
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