第80話【水色のランドセル】

 【水色のランドセル】


 幼稚園で来年から使うランドセルの話をした。

 私が水色がいいと言ったら、お友達はみんな私のことを変だと言った。

 赤やピンクじゃないとおかしいって誰が決めたのかな?


 女の子だって、黒とか茶色とかグリーンでもいいと思う。


 おじいちゃんがランドセルを買ってくれることになった。


「さやちゃんは何色がいいのかな?」


「私は、水色のランドセルが欲しいの……でもお友達は女の子なのに水色はおかしいって言うの、おじいちゃん水色だとおかしいの? 」


 おじいちゃんはにこにこしながら私の頭をそぅっと撫でながら言った。


「お空の水色? それとも海の色? 水色のランドセル、ぜんぜんおかしくないと思うよ、さやはまだわからないかもしれないけどね、人間や動物、もしかしたら植物にも個性っていうのがあってね、好きなものや、大切なものが違うんだよ、それがいいんだよ」


「さやは、おかしくないの? 」


「ぜんぜんおかしくないよ、むしろちゃんと言えていいと思う、本当は水色のランドセルが欲しかったのに、ピンクのだったら学校だって楽しくないよね、だからそのままでいいと思うよ」


 私はおじいちゃんが買ってくれた水色のランドセルでたくさんの思い出が出来た、真紀ちゃんとも仲良くなれたし、真紀ちゃんはね黄色なの、黄色いたんぽぽ色のランドセルだよって嬉しそうに私に教えてくれたんだ。

 空の水色とたんぽぽの黄色の2人のランドセルは並んで学校へ向かうし、帰りもいつも一緒だよ。

これって親友って言うんだよね。


 3年生の頃からおじいちゃんは時々病院に入院してる。でもおじいちゃんのランドセルはいつも私のそばにいてくれた。

 おじいちゃん、ありがとう、やっぱり水色のランドセルで良かった、空の水色のランドセルで今度またお見舞いに行くからね。


 来年の春に私は卒業するけど、水色のランドセルはずっと大切にするし真紀ちゃんとも仲良しで中学に通うよ。

だからいつまでも元気でいてね。



 ~了~


 ****あとがき****

 自粛生活も終わり、色とりどりのランドセルで元気に登校する子どもたちの姿を見ると嬉しくなります。

 赤か黒ではなくて、茶色、橙色、ピンクも色んな種類あるし、水色、鮮やかな青色、茶色やグレー。

 子どもたちの好きな色はそれぞれ違うし、それが個性だと思います。

 自分らしい色が一番ですね。

 私は赤とかピンクが苦手だったのですが赤の普通のランドセル、弟は好きなグリーンのランドセルでした。

羨ましかった思い出があります。

 自分の好きな色それぞれですし、生き方だって好きでいい、どれもきっと大丈夫そんな思いを込めて書きました。




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