第46話【初恋】

 好きな人の見た目は3割増に良く見えます。

 初恋のあの子も初めて付き合ったあの人も今思えばどうして好きになったのかと思うばかり。


 初恋の梶谷君はクラスでも1番の人気者でした。男子からも女子からも好かれていた、勉強こそ出来ないけれど運動神経は誰にも負けないくらいだった。

 クラスの中を明るくしてくれた梶谷君が両親もいなくておじいちゃんと暮らしていることを知っている人は少なかったけど、あの元気の良さは心の裏返しだったのだと思う。


 遠足の日にはきっと寂しい思いもしたのだろう。

「遠足なのに菓子パンだぜ」って笑っていたけどみんなのいつもより豪華なお弁当を見るのは辛かったと思う、そんな梶谷君を私は好きになった。


 きっかけは私が背が小さいことで皆からからかわれていた時に庇ってくれた事だった。

「マスミが小さいことでお前らになんか迷惑でもかけたのか?しょうもない事でいじめるのはやめろ!」

 その言葉は私を救ってくれた。


 今でも私は背は低いことを気にしてはいるけれど、それも個性なんだと思えるんだ。



 さぁ今日も愛情たっぷりのとびきり美味しいお弁当を作ろう。


 大好きな旦那さまに…


 *梶谷マスミ*


❊・・・・・・・・・・・・・・・・❊

 両親が離婚してじいちゃんと暮らす事になったけど、幸せだったと思う。

 もちろん寂しい思いも沢山したけど楽しい子ども時代だったんだ。


 高校を中退して学歴なんてないけれど今の仕事も体力勝負で辛いこともあるけど

 幸せなんだと思ってる。


 小さくて可愛い俺の嫁さんの弁当はとびきり美味しい。


 じいちゃんに初めて紹介した時の嬉しそうな顔を忘れることはこれからもきっとないと思う。


 今は仏壇の中で見守ってくれてるんだよな…


 さて今日も頑張ろう!

 大好きなあの子とお腹にいる俺の子どものために。



 *梶谷雅也*

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