第20話【オートバイとミルクティー】
オートバイメーカーごとにエンジン音が違うことは彼と付き合うことになって知った。
でも付き合うことになってからもオートバイに乗せて貰うことはなかった、その理由は事故を起こした時には後ろに乗ってる人が1番危ないから、大切に思ってるってことなのだと言い訳された、一応は納得したけれど、オートバイに乗る彼の背中にしがみついて走りたいと思っていた。
デートをするのは週末、車で出かけることが多く、日帰りで行ける所はほとんど連れて行ってもらったし不満があるとしたら、平日の夜の彼がオートバイに乗ってるって事だけだった。
その頃の私は実家に住んでいたし、1人の部屋でいつも彼の事を思った。
私の知らない彼の事を思うと泣きたくなってくる。
耳をすませば、あの音が聞こえてくる
YAMAHAのオートバイのエンジン音
ひとしきり走ったあとに私の家の前を通ってくれるのが「今帰ったよ」の合図になっていた。
エンジン音が愛おしいなんて…なんておかしなやつだって思うでしょ?
恋しちゃってるんだからしかたないんだ。
ある日滅多に喧嘩しない2人が些細な事で言い争った、その時の彼の寂しげな瞳を見た時に心はゆれたけど、意地を張ってしまう自分に愛想がつきた。
会うのをやめても、オートバイのエンジン音を聞くことに変わりがなくてベランダでぼんやりと彼の音を探してた。
そんな日々でも普通の面白くもない仕事は続いて行くし、友達と出かけることもあって、楽しいことだってあったけど毎晩あの音が聴こえてくるのを待った。
ある日の夜その懐かしくて愛おしいオートバイの音は家の前を通った後に
私の家の前でエンジン音を止めた、多分思い切って来てくれたのだろう、玄関先で迎えた母親に丁寧に「夜分にすみません、さとみさんはいますか?」
そこには数ヶ月ぶりに会う彼の笑顔があった。
そして今夜も彼はお気に入りのオートバイで少しの旅に出かける、もうそろそろ帰って来る時間だ、子どもの寝かしつけも終わったし愛する旦那様の小さな旅の話聞くために暖かいミルクティーを入れよう、ほらね聴こえてきたよ、YAMAHA独特のエンジン音が…
✼✼✼あとがき✼✼✼
親友の話を書いた作品です。
大好きな友達です、私の詩やエッセイを読んでくれてる人はわかってくれてるかな?度々話の中に登場しています、イジメの過去なんて今は笑い飛ばして初めての出産もカウントダウンに入りました。がんばれ!
みなさま読んで頂きありがとうございます!
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