第12話 【ちいさな国の秘密】

 ちいさな国の秘密


 ある日のこと部屋の壁の隅っこにちいさな穴を見つけた、鉛筆位のちいさな穴である。

 この部屋に暮らしはじめて3年、今までどうして気が付かなかったのだろうか?


 とりあえずその穴をバラのドライフラワーを入れたちいさくて細長い花瓶で隠した。


 なんということか、次の日にはその花瓶が少し動いているのに気がついたのです。

「あれ?どうして動いてるんだろう」

 ズレた花瓶を戻してベッドに入った。


 ✵❋✵

 その日の夜のこと、屋敷のドアを激しく叩く音に眠りは中断された。

「大変です、この部屋の住人に気づかれたみたいです」

 ちいさな男はひと回りちいさな娘に声をかけた

「それは困りましたね、私たちの暮らしを脅かすことにならないといいのですが」

「王女さま、すでに入り口の前に何やら大きな塔のようなものを立てられておりました、兵士300人で何とか元に戻しましたが、明日の朝はどうなることやら」

「それは困ったことですね、我々が住人に危害を加えることなどないということを分かってもらわねばなりませんね」

 しばしの沈黙のあと

「王女さま、それならば魔法使いのニーナに頼んでは如何でしょうか?何か知恵を持っているかもしれません」


「なるほど、しからばその魔法使いのニーナをこちらにお呼びなさい」


 急に呼び出された魔法使いのニーナはちょっと眠そうな顔をして女王に頭を下げた。


「王女さま、お呼びでしょうか?」

「さっそく来て頂きありがとうございます、この国の唯一の入り口に大きな塔が立っているそうで、そこに住んでいる大きな巨人に分からせる術はないだろうか?その事で何か知恵はございませんか?」


 魔法使いのニーナは500歳をすでに超えていますが、見た目は少女のようです、その少女のような魔法使いに丁寧に伺いを問うた。


 魔法使いのニーナはしばし考えた後に声をあげた。


「その巨人の夢の中に入り込み、我々が何の問題も起こさないと知らしめるのは如何でしょうか?」


「なるほど、1度試して見る価値がありますね」


「誰か巨人の夢の中へ入って目的を達成する者はおらぬか?」王女の側近である男が民衆に向かって声を放った。


「私が参ります、以前の住人が住んでいたときには、頻繁に巨人の世界を見物に行ったものです、この国の子どもちにも外の暮らしを見せてあげたいのです」


 その勇者の申し出をこころよく受けた


 そして勇者は魔法使いの助けを借りて巨人の夢の中への潜入に成功した。



 次の日からは、塔はちいさな穴を塞ぐことなくそびえたったのです。


 不思議な夢をみた住人はちいさな穴を覗いてみました。

 ちいさなちいさな明かりがついているようにも思いました。


 この部屋に住んでいるのは巨人が1人とちいさなちいさな国の住人たちが数え切れないほど住んでいます。




 ❀✿❀あとがき❀✿❀

 これは童話なのか?それともファンタジーなのか?

 

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