第10話【物語のエンディング①】
砂浜に降り立った僕は周りを見回した。
ほらまた騙されたんだ、自分のこの性格に嫌気がさした。
砂浜に大きな流木があったそこに腰掛けながら美しい海を眺めていると。
ガチャりと扉の開ける音がした。
そこにあらわれたのは自分より少し年上だろうか?OLっぽい女性だった。
「あの?日本人ですか?」
僕は返事をした
「そうですよ、二流大学に通う日本人です」
もう訳のわからない状況に『どうにでもなれ』そんな気分だった。
彼女は笑いながら近づいて来て隣に座りながら聞いてきた「ここは何処ですか?」
「それが、わかったら、こんなところで黄昏てませんよww」
2人は顔を見合わせて笑った
2人とも何かに騙されている事には気づいていた。
「とりあえず、綺麗な海ですね」
波打ち際の飛沫を見ながら彼女は小さく呟いた
「何やってるんだろ…わたし」
さざなみの音だけが静かに2人を包んでいた。
「…………………」
後ろから声が掛けられているのにも気がつかない
「もしもーし!聞こえますかぁー?」
2人同時に振り向くと白いドレスを着た天使のような美少女とこちらも白いタキシードを着た美しい青年が立っていた。
「俺を騙した…」
「私を騙した…」
その2人が並んで微笑んでいた。
「おめでとうございます、貴方達は選ばれし者です」美少女は静かに語りはじめた。
「この国を救って頂くために召喚した勇者なのです」青年が話を続けてきた。
少女が説明をした
この国とは青い海と白い砂浜に囲まれた【ブルーノ王国】という名前の王国らしい、そしてこの国は現在、魔王の国との闘いの真っ最中で、前任の勇者が闘いの現場から逃げ出して。困っていたので、日本にやってきて「騙されない!」と強く思う2人を適任だと判断しそしてこの国に連れて来ることに成功した。
転生?
あの扉を超えただけで?
納得は行かなかったが、話しの続きを黙って聞いていた。
「あなた方には最上級のチートスキルが与えられています、幻の剣や最強の盾もご用意しております」と美少女
「日本人はラノベ系のアニメや小説が好まれていると聞きます、その世界でヒーローそしてヒロインとして活躍出来るのですよまさにアニメや小説で活躍しているみたいに」
とタキシードイケメン
しかし何かを隠しているのか、奥歯に物が挟まったように話しを続けている。
「あっ僕、ラノベ系作品苦手なんっす!ありえない設定がマジで無理なんです、というか死んだ人間が転生する話より現実で頑張る主人公の方がカッコイイと思ってるし…」
「私も興味ありません、ヒロインの素質なんてまったくないし…現実に面白いことなんてまったくないけど今の自分もちょっと好きだったりするし…」
ずっと無言だったOLが声をあげた。
「無敵のスキルとハーレム間違いなしの設定の何処に不満があるのですか?」
「イケメンとのラブロマンスさえも必要ないと言うのですか?」
天使のような美少女と白いタキシードのイケメンは必死にメリット(勇者として有名になる事)を延々と語り続けた。
僕はキッパリと言った
「僕はもう騙されない、そしてなんて事ない日常だってまんざら嫌いでもないし」
「私もそうです、騙されないわ、こんな私でも必要としてくれる人がいて、たった今も私の部屋には私を待ってるかわいい猫もいるんです。」
「なので…帰ります!」
「帰りたいです!」
今まさに透明になり消えかかっている扉を2人で開けた。
扉を閉めると、喫茶店「BLUE BIRD」のあかりがパチパチっと音を立てながら静かに消えた。
「今度こそは適任だとおもったのですがね、また1からスタートですね姫」
「仕方ありませんね、2人の幸せを祈りながら急いで次の候補者を探しましょう、それは勇者として与えられたスキルを手放した貴方の運命なのです、次こそは代わりの勇者を探しましょう」皮肉を込めてブルーノ国の王女はかつての勇者に声をかけた。
美少女と爽やかイケメンの勇者探しは振り出しに戻るのだった。
恐怖の魔王の魔の手は暗闇からこちらに向かっている。
新たなる勇者はどこにいるのだろう…
◆注意◆
異世界転生の物語を否定していません、むしろ書きたい気もするのですが、当へっぽこ書き手はそのスキルを持ち合わせておりません。(泣)
この物語には2つのエンディングをご用意しております。
2つのエンディングのどちらがお好みでしょうか?
別のパターンをどうぞお読み下さい。
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