第4話【スクールカースト】

 僕はあの子に恋をしたみたいだ。


 スクールカーストで最下位にいる僕にはあの子は眩しい存在だった。


 中学に入ると、この世界には階級が決められていることを知った、その1番上にある限られた人しか入れないその場所であの子は輝いていた。

 絶え間なく続くその会話に下層の僕には入ることは出来なくて、時々見せる寂しげな表情をコッソリみているだけだった。


 そんなスクールカーストの下層にいる僕だって仲間はいたし、それなりに楽しんでいたのだと思うのだけど

 、やはりツラいこともあった、そのカーストの真ん中には中層の生徒たちがたくさん存在していて、そいつらは必要以上に下層の僕らにキツく当たる、理不尽な言いがかりをつけてはみんなでイジメをはじめる、それは僕らをターゲットにするのだ、僕は学校に来れなくなった、あの子を遠くから見ることも出来なくなった。

 それはとても寂しいのだけど、朝起きると息が苦しくなった。


 家にこもってばかりいるけれど、僕は本を読むのが好きだ、母さんが出かけた隙に時々小さな本屋に通っていた、ある日その本屋であの子を見かけた、あの子が手に取っている本は僕が1番好きな作家の本だった。

 いつも友だちに囲まれているあの子が1人でいることはとても不思議だったけど、寂しげな横顔は僕まで不安になるようだった。


 僕は思い切って声を掛けた、「その本すごくいいよ、読んだことないなら絶対読むべきだと思う」

「そうなんだ、題名が素敵だからずっと気になってたんだ、神田くん学校には来ないの?もうすぐ文化祭の準備始まるよ」


 君を見たいからホントは学校に行きたいなんて言えなかった、言えるはずもなかった。


「そうなんだけどね…」

「あっ、ちょっと待っててこの本買って来るから」


 僕らは夕焼けが綺麗な土手の道を歩いた。


「私ね、本当はすごく無理してるの…」

「いつも楽しそうにしてるじゃないか」

「ホントはそうじゃないの、小学校の時にイジメにあって学校に行けなくなった時期があるんだ、それで中学と同時に引越して来たの、それをきっかけに自分も変われるかもって」

「でもたくさん友だちいるだろ?」

「うわべだけの友だちだけどね、…だから…神田くんを見ると辛かったの自分をみているみたいで…」


 夕焼けに照らされた横顔は凄く寂しそうで僕まで悲しくなった。


「僕、明日から学校に行くよ、なんだか1人じゃないって思ったから」


「うん、待ってるよ」

夕焼けに染まる道で2人は約束をした。


 次の日から僕は学校へ行った



スクールカーストなんてクソ喰らえだ


「高橋さんおはよう!」


 あの子は笑顔で答えてくれた。


「神田くんおはよう、あの本読んだよ!」


 周りの視線?

 気にならないくらいにあの子が好きになったみたいだ。


 これがきっと初恋なんだと思う、それは僕を強くする。


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