あなたに会うまで

第10話 あの人

あなたからはまだLINEが来ません。


あの人はとても脆く、優しい人です。

あの人と離れてからはずっとあの人のくれた優しい言葉や、キスを思い出しては心を満たしています。



あの人は言いました。

「君だけにする」「大好き」「好きになってもらえるまで待つわ」


どの言葉も信じていません。


頭では信じていないけれど、心はもう、だいぶあの人に侵食されています。


保身的な私は、6つも上で芸人してて、背も高いわけじゃないし細いし、よくないと言っています。

退廃的な私は、この人を好きになって、自我が崩れるまでこの人に依存したいと言っています。



あの人はLINEのやりとりが苦手な筈なのに、無理に返信してくれています。

前は1日1回もやりとりすることが億劫だったあの人が、私に3回ほどラインのやりとりをしてくれるのです。


そういうことをされると、「この人は私のことが好きなんだ」と信じて疑わなくなります。


友人に言わせると、きっとまた「お前の好きは好きじゃない」と言われると思います。

もういいのです。

性欲を満たし、寂しさを埋めてくれる人なら。

それがある程度顔が良くて、優しければ。

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