第8話 あの人
電話をした時、あの人にも、私が人を好きになるのは「崖に立って上から下を見てみたい、と思うのと同じ」と言いました。
この人は何も分かってくれませんでした。
「好きだなと思う人は、一緒にいてドキドキするよ」と教えてくれました。
たしかに、高校の時の彼と一緒にいるときはドキドキしていました。
「かわいいって思ってもらいたいのって、好きってこと?」
「そういう好きもあると思うよ」
この人はたくさん好きの形を教えてくれました。
私はいまいちピンと来ません。
この人のことはどうなのでしょう。
私がたまにこの人の言葉で胸が高鳴るのは、崖から下を見下ろす、あのドキドキと同じな気がします。
好きなのでしょうか、これは。
まだ見ぬこの人のことが。
あの人からLINEが来ることが楽しみになっていました。
あなたからはいきなり来なくなりました。
でも、あなたに重きを置くのを止めようと決意していたので、深く傷つくことはありませんでした。
あの人に素直にならないことが好きです。
あの人に意地悪を言うのが好きです。
呆れたように、少し怒りますが、私がぶりっこして謝ると簡単に許します。
兄と会話するような感じなのでしょうか。
明日、あの人と上野で会います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます