第7話 あの人

あの人は、23時を過ぎると「電話できる?」とメッセージを送ってくれました。

すごく、嬉しかったのを覚えています。


明日が休みということもあり、2時間半ほど話をしました。

本当に話をするのが楽しくて、あなたよりこの人への想いが日に日に強くなっていくのが自分でもわかります。



この人にも、あなたと同じように予防線を張りました。

「こんなに面白い友達はなかなかいない」と。

この人はすぐ反応してくれました。

「最初から友達って思われたくない。可能性を消さないで」と。


あなたは私の予防線に無関心だったけれど、この人は私を弄ぶつもりかは分からないけれど、私を諦めようとはしてくれませんでした。


胸が高鳴ります。


この人は、そのあと、ぽつぽつと私を褒めてくれました。「話すのが楽しい」「声が可愛い」などと。

私は自分の見た目に頗る自信があるわけではありません。普通と言うのもおこがましいのかもしれません。


あなたに、たくさん予防線を張りました。

ハードルも下げさせました。



電話を切って、LINEを送りました。

「長いことごめんね」

あなたは言ってくれました。

「長く話したかったから気にしないで」

「優しい言い方してくれるのが嬉しい」

「嬉しいって言ってくれるのが嬉しいし、好きだなって思う」


この人の「好きだな」は、どういう好きだななんでしょうか。


21歳という、若さで有無を言わせない時に、6つ上のおじさんに一喜一憂させられるのが馬鹿らしいです。

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