第3話 あなた
出会い系アプリというか、マッチングアプリというのが正しいと思います。
入れてその日に、あなたからもあの人からも連絡が来ました。他にも色んな人から来ました。
マッチングアプリ自体は1週間ほど登録してみたのですが、結果この二人だけとLINEを交換し、マッチングアプリは消しました。知らない人と空っぽのやりとりをすることが向いていなかったのだと思います。
あなたは面白くて刺激的で、初めて接するタイプの人間でした。
LINEを交換して、少しやりとりをしていた最初の頃は、私をよく「いい子」と言っていました。
あなたとは記録的な台風の日に初めて電話をしました。5時間も話をしました。
ご飯に行こうと話になり、私はすごく楽しみになりました。
あなたはたくさんあなたの写真を送ってくるけれど、私はあなたに写真を送ることが出来ませんでした。メディアリテラシーは関係なく、あなたにどう思われるかが怖くて堪らないのです。
あなたは背が高くて、魅力的で、モデルもしていたって言われてしまったら私のような普通の女子大生はどうしたって怯んでしまいます。
私もずるいですが、今思うと、あなたもずるいです。あなたは「電話しよ」と言いつつ、「電話をしてもいい?」と聞かなければいけないのは私。
あなたはまた、「ご飯行こう」と言いつつ、「新大久保にチキンあるよ」って提案するのも私。
あなたは、まるで私の方が気があるみたいに演出させるのが得意です。
その通りなのですが。
あなたに気があるのを悟られないように、自分に言い聞かせるように、私はよくあなたのことを「友達」と表現します。
友達とは一体何なのでしょうか。
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