第2話

翌日。

夕暮れ時、人がはけた教室、昨日と同じ時間、同じ場所で俺は立っていた。

もちろん、女から告白の返事を聞くためだ。


「・・・・・・・・・。」


これも昨日と全く同じ。

女はうつむき、そして喋らない。




「俺のことどう思っているんだ?!」


そう尋ねたのがまるではるか昔のように感じられる。

それくらい長い時間女も俺も動かない。喋らない。


カァカァと鳴くカラスの声、木々が風で揺れる音、野球部の声、吹奏楽部の音。


耳にはいろんな刺激が入るが、今一番聞きたい言葉はいつまで経ってもない。


嫌われているのだろうか?

いや、もしそうなら昨日に続いてこんな風に相手をするわけがない。

なら告白の答えは?良いと言うことなのか?


良いのか?それともやはりダメなのか?

とにかく女から答えを聞かねばそれもはっきりしない。

変な妄想が膨らむばかりだ。


頼む、何か喋ってくれ。


強い思いで女を見つめる俺。

なんて滑稽なんだ。


いたたまれない気持ちになっていると、

小さな声で、


「そろそろ、帰ろっか。」


女は言葉を発した。


そしてそれを言うやいなや、鞄を手に取り教室を去った。


やはり俺は置いてけぼりだ。



あの、返事は…?

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コーヒーを飲みながら。 長尾大輔 @nDaisuke

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