コーヒーを飲みながら。

長尾大輔

第1話

ダメならダメと言ってくれ。


秋の夕暮れ、人がはけた教室、そこには俺と女だけがいた。


「・・・・・・」


さっきから女は黙ったままだ。

俺の告白の返事はいつになったら聞けるのだろうか。

告白した側の俺が思うのもなんだが、待たされるとだんだん腹が立ってくる。

それとも不安を感じているのだろうか。

暑くもないのに汗が出る。

ダメならダメと言ってくれ。


「好きだ。俺と付き合ってくれ。」


目の前の女にそう告白してからすでに相当な時間が過ぎた。

俺の告白に女は驚いた表情をしたかと思うと、すぐに視線を下げた。

うつむいた女は、それから喋らず動かず今に至る。

おかげで俺も全く動けない。




そろそろ日も落ちようかとした時、やった女は口を開いた。


「そろそろ帰ろっか。」


そう言って机に置いてあった鞄を肩にかける。

そして俺のことをちらっと見たかと思うと一人で教室を出て行った。


その間俺は一切喋れず動けず。

静かに閉まるドアを見つめていた。


返事は?

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