《ボイナとの修行:1》
お互いの本当の歳が判明した後、しばらく話していた事で落ち着いてきたアンナが、
「ところで、ケントはどうやって魔法を覚えたの?私と初めて会った時には、もう魔法を使う事が出来たって事は何処かで呪文を覚えたのよね?でも1年間、1人だったんでしょ?」
そう言って聞いてきた。
「ああ。それはドラゴンに魔法を教えてもらったんだよ!」
俺がそう言うと、アンナは凄く驚く。
「ド、ドラゴン?ドラゴンを見たの?しかも、魔法を教わったってどういう事?」
アンナが驚きながら聞いてくる。だから、
「そうだよ。ドラゴン。名前はボイナ、竜神ボイナ!」
そう言って俺は5ヶ月間のボイナとの修行時代の話をした。
◆修行時代
アルティアに言われて魔法を教えに来てくれたボイナ。場所を島に移動した俺達は森の中心にいる。初級魔法から教えてくれると言うから楽しみにしていると、
「では、始めるかのう。お主は剣も使うようじゃし、実戦形式で覚えるのじゃ!さあ、始めるぞ!」
ボイナはそう言ってドラゴンの姿で巨大な火の球を放ってくる。
「え?」
1メートル程もある火の球が俺に迫ってくる。
「おいおいおい。急すぎだろっ!」
俺は急いでその場を離れた。地面にあたって弾ける火の球。地面が焦げて削れている。
「ふむ。ちゃんと避けたな!今のが、魔法じゃ!お主にはこれから我が知っておる魔法を全部教えていく。」
俺が避けたのを確認しするとボイナがそう言っている。いや。待てよ。
「いやいやいや。何をしれっと説明始めてんの?今の何?何で急に魔法なんて放ってんの?おかしいだろ?」
俺がそうツッコミをいれるとボイナは、
「何を言っているのじゃ?実戦形式で行くと言ったじゃろ。まずは魔法を見せてやろうと思ったのじゃ。なのに何が不満なんじゃ?」
そう言って不思議そうな顔をする。いや、ありがたいんだけど。
「いや、魔法を見せてくれたのは嬉しいけど、急に放つんじゃねえよ!もっとなんかこう行くぞとか言って魔法を放つ前に教えてくれよ!急にあんな巨大な火の球が迫ってきたらパニックになるわ!」
俺が怒りながらそう言うと、
「ふむ。分かったのじゃ。次からはそうしよう!」
そう言ってくれる。当たり前だ!危なすぎる。
「それと次からはどんな魔法かもちゃんと教えてくれ!頼むから!」
俺がそう言うと、ボイナは分かったと言って人の姿に戻る。
「さて、今からお主に魔法を教えるわけじゃが先に魔法を使うための基礎を教えようと思う。」
ボイナに文句を垂れているとそう言ってくる。
ボイナから説明を受けた俺は自分の魔力が感じられるようになった。鍛えれば周りの魔力も探知出来るようになるらしい。
俺の魔力がどのくらい高いのか聞くとボイナにも分からないぐらい高いらしい。超級魔法が何度でも使えるとの話だ。魔力の高いボイナでさえ数回しか使えないと言う。
「さて、基礎もとりあえず教えたから次は初級魔法じゃ。まずは先程、我が使った魔法を教えるのじゃ。一度見たから説明は要らんじゃろ?」
いよいよ魔法を教えてくれるらしい。さっきのっていうと、あの巨大な火の球か。
「わかった。呪文を教えてくれ。」
俺がそう言うと、
「呪文は"
ボイナが呪文を教えてくれる。とりあえず唱えてみる。
「"
俺が呪文を唱えると先程ボイナが放ったのと同じ大きさの火の球が地面にあたって弾ける。それを見ていたボイナは、
「ふむ。なるほど、そこは変わらないようじゃな。」
そう呟いている。何かを考えているようだ。
「どうした?」
俺がボイナの反応を不思議に思い聞いてみると、
「うむ。お主、さっきの"
そう聞いてきた。そりゃあボイナが先に使って見せてくれたからな。
「ああ。頭に浮かんでたぞ。だって、あれが"
俺がそう言うと、
「いや。ちょっと違うのじゃ。あれは確かに"
そんな事を言ってきた。どういう事だ?あれが普通じゃないの?
「どういう事?」
俺は言っている意味がわからずボイナに聞いてみた。
「よいか?普通、魔法を使う際は唱える魔法がどんな効果の魔法かイメージ出来ないと使えないのじゃ。じゃが、お主は呪文を知ってれば魔法の威力やサイズをイメージするだけでいい。」
そうなんだ。
「さっきの"
そう言ってくるので今度は何も考えず、もう一度魔法を唱えてみた。
「"
すると今度のは30センチ程の火の球が地面にあたる。威力も弱い。
「ふむ。今度のは普通サイズじゃな。どうじゃ?さっきの"
地面にあたった火の球を見てボイナがそう聞いてきた。なるほど。全然、違う。
「ああ。使った魔力がかなり少ないな。」
俺がそう言うと、
「そうじゃ。魔法はイメージによって魔法に込められる魔力も変わってくる。それはお主の場合も変わらんようじゃ。込められる魔力が多いと威力も上がる。」
ボイナがそう説明する。なるほど。だから、さっきのは地面が何も問題ないのか。
さっきの"
「よいか。魔法を使う上で重要なのは、魔法のイメージじゃ。自分がこれから使う魔法にどれだけの威力を持たせるか、サイズはどれくらいにするかを考えるのじゃ。例え小さいサイズでも威力を強くするイメージなら魔法に込められる魔力は多い。込める魔力が多ければ普通のより威力は上がるのじゃ。小さい魔法なら相手の油断を誘う事が出来るしの。」
俺の場合は唱えただけだと、普通サイズの普通の威力になるって事か。ボイナが説明を続ける。
「じゃが、威力やサイズを変えても魔物は強ければ強いほど魔法も効きにくくなる。ランクの高い魔物はそれだけ魔法に耐性がある。」
「耐性って?」
「魔物も人間と同じように使える魔法属性の適正がある。自分の適正属性の攻撃魔法ならほとんど効果がなくなっていくのじゃ。火属性を使えるなら火属性に。そういった感じだ。これは人間も同じで、魔法に対する耐性をお主も持っておる。我やお主なら全属性の適正がある為、強くなれば超級以外なら上級が少し効く程度じゃ。」
なるほどね。良くわかった。魔法が効きにくくなるなら強くなんないとな!それと話の確認も一応しておこう。
「じゃあ、魔物と闘うときは魔法に対する耐性に注意しないと駄目って事でいいのか?」
俺がそう確認すると、
「うむ。だが、例えば初級攻撃魔法で倒せないからと、その属性が効かないと思ったらいかんぞ。初級が駄目でも中級、中級が駄目でも上級と上位の魔法なら倒せる可能性は上がる。我ら眷属以外の魔物ならほとんど倒せるじゃろう」
そう言って教えてくれた。
「よくわかった。じゃあ残りの魔法も教えてくれ。」
「うむ。じゃあ、まずは無属性の"
ボイナはそう言って他の魔法も全部教えてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます