《宿屋。月の恵!》
「ハンナの店は何を売ってるんだ?」
トラブルが去り仕事に戻るハンナ。俺はそんな彼女に何を売っているのか聞いてみる。
「私の店は日用品から食器や鍋、包丁とかを売ってるわ。他にも、各大陸の民芸品等も売ってるわ。あ、あと最近ホース聖王国で仕入れたポーション等も売ってるわ。」
ポーションか。一応、買っておこうかな!
「じゃあ、ポーションを買わせて貰うよ。マナポーションと一応、スタミナポーションも買おうかな!後、鍋とかも一通り買うよ。」
旅するのに鍋とか必要そうだしな。
「良いの?ポーションは高いから結構いい値段するわよ?」
そう心配してくれるが金は結構持っている。
「ああ、大丈夫だ。全部でいくらだ?」
「そうね。ポーションが1つ金貨1枚だから2つで金貨2枚ね!他の代金はさっきのお礼ってことでタダで良いわ!」
そういう事ならお言葉に甘えよう!
「じゃあ、これ。金貨2枚な!」
「はい。確かに!じゃあ、これ。多いから気を付けて持ってね」
そう言って買った物を箱に入れて渡してくれる!
「大丈夫だ!"
俺は荷物を受け取って"
「収納魔法良いわね?私も、もう少し魔力が高ければ使えたんだけど。」
そう言って店の片付けを始めた。
「もう店を閉めるのか?」
俺がそう聞くと、
「だって、こんな場所じゃ客だって少ないわよ!まして私は獣人族だから買ってくれたのも3人だけ。まあ、あなたを入れたら4人だけどね!それに、もう日が沈み始めてる。遅くまでやる気はないわ。」
そう言って空をみる。つられて俺も空を見ると確かに夕焼けが綺麗にかかっている。そろそろ夜か。
俺が夕焼けを見ているとハンナが声をかけてくる。
「さて、片付けも終わったし、私は宿に戻るわ!ケントは何処に泊まってるの?良かったら一緒にご飯食べない?私の泊まってる宿で食堂もやってるから!」
あ、ヤバい。寝る場所の事を何も考えてなかった!今までは地面で寝てたし、魔法を覚えてからは土魔法の"
さすがに街の中で勝手に作るわけにはいかんしな。う~ん。どうしよう?
「いや、今日、街に着いたばかりだから宿は決めてないんだ。とりあえず、後で考えるよ。ご飯食べに行くんだろ?」
俺がそう言うと、ハンナが宿を紹介してくれる。
「じゃあ、私が泊まってる宿に来れば?そこなら獣人族でも嫌がらないで泊めてくれるわ!私も今日着いたんだけど、他の宿じゃ獣人族は駄目って追い出されたの!」
その時の事を思い出したのかムッとしている。そう言ってくれるハンナには悪いが俺なら出入りするときだけ姿を変えれば大丈夫だと思う。
だが、俺の事を考えての事だ。なら、
「わかった。じゃあ紹介して貰えるか?」
俺がそう答えると、
「わかった。じゃあ、着いてきて!」
そう言って荷物を台車に乗せたハンナが歩き出す。彼女についていくと、商店街を抜けて路地の中に入る。商店街の少し北側、その路地に宿屋らしき建物が幾つか並んでいる。
「着いたわ!ここよ。」
ハンナはその中の1つの宿の前に着くと、台車から荷物を卸し台車を宿の横に持っていく。
「ちょっと待っててね!」
そう言って台車を置きに行く。どうやら宿の横には馬車等が置けるようになっているようだ。
「お待たせ!さあ、中に入るわよ!」
荷物を重たそうに何個も持って中に入るハンナ。俺もいくつか荷物を持ってやり中に入る。
「いらっしゃい。ってハンナちゃんじゃないか!お帰り。」
そう言って声をかけてくる女性。良く見ると耳が少し長い。エルフかな?ハンナに声をかけた女性は俺に気が付くと、
「そっちの彼は?ハンナちゃんの知り合いかい?」
そう聞いてくる。
「ええ。さっき仲良くなったの!宿が決まってないって言うから連れてきたわ!」
「そうなの?じゃあ、是非うちの宿に泊まってね!値段は安いけど部屋は綺麗よ!」
ハンナが答えると、俺の方を見て声をかけてくる。
「はい。じゃあ10日程お願いします!」
とりあえず、10日程だけお願いする。転移者も1週間位で戻ってくるって言ってたし、後の事はその後で決める。
「わかったわ。じゃあ、宿帳に名前を書いてね。宿代は1泊銀貨5枚。10日なら金貨5枚ね!」
そう言われ名前を書き金貨5枚を払う。
「ケント君ね!ここは、月の恵。私は店主のアイナよ!よろしくね。1階の食堂で朝と夜は食事が出来るから利用してね。」
そう言って部屋のカギを渡してくれる!
「部屋は2階の一番奥の部屋よ!ハンナちゃんの隣だから案内してあげてね!」
「わかったわ!ケント、こっちよ!」
ハンナに案内されて2階にあがる!
「ここが私の部屋。ケントはそこの隣の部屋よ!荷物はそこに置いてくれれば良いわ。後は自分で運ぶから。荷物を置いたら下に行きましょ!」
そう言って自分の部屋に入るハンナ。荷物を入り口の横に置いて俺も部屋に入ってみる。
「質素だけど綺麗にしてあるな!」
部屋の中はベッドとライトみたいなのがあるだけだが中はちゃんと綺麗にしてある。このライトみたいなのは魔道具の様だ。
試しに魔力を少し流してみると明かりが着く。光属性の魔法を付与しているみたいだ。俺が部屋の中を観察していると、
「ケント?もう行ける?」
そう言ってハンナが声をかけてくる。俺は部屋から出て彼女と下の食堂に行く。
「さて、ケントはなに食べる?」
下に行くと他にも客がいる。俺達は空いてる席に座って置いてあったメニューを見る。
そう言われてもどんな食べな物なのか想像できないんだよな。俺が悩んでいると、ハンナは先に注文をしている。注文をとっている人はアイナさんの娘らしい。
「私はこれとこれ。ケントは?」
俺はとりあえず彼女と同じ物を注文する。
「彼女と同じ物をお願いします!」
「はい。かしこまりました。」
そう言って厨房に料理を伝えに行く娘さん。厨房では旦那さんが料理を作っている。
「なあ、アイナさんてエルフだよな?」
俺はアイナさんの耳が少しだけ長いのが気になったのでハンナに聞いてみる。
「ああ。彼女はハーフエルフよ。父親が人族らしいわ。初めて見た?」
俺が不思議そうに聞くとハンナが教えてくれた。なるほど、ハーフエルフか。
その後、出てきたのはパンとシチューに似たスープ。少しだけ味が濃いが普通に美味しい。
俺達は食事をしながら会話を楽しんでいた。
「ハンナはどうやってイース大陸まで来たんだ?」
彼女は弱い。初級ぐらいなら魔法も使えそうだけど1人で来れるわけがない。気になったので聞いてみると、
「ああ、それは他の商人の人達と一緒に来たのよ!ノーブル大陸で皆で護衛を雇ってね!護衛の人も獣人族の事が嫌いじゃない人を指名して。」
なるほど。そうやって皆、移動してんのか。まあ、移動に1年もかかるなら商人だけじゃ危ないしな。
それからも色んな話をして、俺達は部屋に戻った。
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