第15話桃色と白と青と金色幼女




「グへへへへへへへッ」


 ヒョコヒョコとつま先立ちで、私が張ったマジックドームの真下に倒れ込んでいる青い髪の幼女に近付く。


『うん、可愛いねぇ~~♪』


 倒れ込んでいる幼女の顔を覗き見る。


『どっちかっていうと、元気系かなぁ?♪』


 群青のショートな髪に、口端から覗く八重歯。身長は私と同じくらい。


 でも体型は、


『むむっ、意外と大きいねぇ! ストレートな体型なのに、そこだけ盛り上がってるよっ!』


 その幼女の格好は、清楚な感じのメドとは正反対で、Tシャツ風なものと青いホットパンツを着用していた。そしてその胸元は意外にも大きなものだった。


『こ、これがロ○巨乳なんだね! いやいや、さすがに幼すぎだよね? アンバランスだよねっ!?で、でもっ』


「う、うーん……」 


 ゴロリと、その青い幼女が寝返りを打つ。


『ま、まあ、ありかなっ!』


 ふるふるっと揺れる双丘をみて、そう納得した。

 魔法少女にもお色気担当必要だしね。


「ど、どれ、も、もういいよね?……」


 と、誰にともなく呟き、そろそろと人差し指を伸ばす。


一体誰に断っているかなんてわからないが、十分我慢したのだから、もういいだろうっと勝手な自己解釈で完結した。私は欲望に忠実な幼女なのだ。


 眺めるのはもう堪能した。

 なら次は接触をして堪能してみようではないか。


 まずは自己主張する膨らみの、更に上の頂きを目指して…………


『ご、ごくりっーー』


「フーナさま、何してるの?」

『フーナお姉さん誰なの?その子供』

「!!っ」


 びくっ

 びょんっ!


「わ、わわわっ! あ、あれ?土煙は? そ、それにメドにメルウちゃんっ!?」


 私は突然、背後からの声と、脳内に響くカン高い声に驚いて飛び跳ねる。


「な、何って、なにっ!? メドっ!!」


 ドキドキしながらも、伸ばした手を後ろに引っ込める。

 私は何もしていない。これからだったから。


「フーナさま、その子供どうしたの? もしかしてさっきの?」

「う、うん、さっきのドラゴンだと思う」

『ねえねえっフーナお姉さんさっきの事なんだけど?―――――』


「…………………」

「フーナさまどうしたの?」

『ねえってば、ねえっ! 無視しないでなのぉっ!!』


 なんか「プンプン」と手を振り回しているメルウちゃんが想像できる。

 そういえば、メドを探しに行く前に怒らせたままだったような?



「ねえ、メド。ちょっとこの子見ててもらえる? 少し考えたい事があるから」

「うん、わかった」

「それじゃよろしくねっ!メド。わたし、もしかしたら、ちょっとだけ独りごと言っちゃうかもだから、気にしないでね?」

「わかった」


 私は惜しみながらも、青い幼女ドラゴンより少し離れる。

 メルウちゃんに謝らないといけないと思うから。


『か、かわいい、かわいい女神のメルウちゃん! さっきはごめんねっ! メルウちゃん怒って帰っちゃったもんねっ』


『ふ、ふんっ、反省してるならいいの。あたちは大人だからいつまでも気にしてないの。それよりも、あの子供はどうしたの?』


「ああ、あれはメドを連れ去ろうとしたのを、わたしが止めたんだよっ、戦って」

『ふ~~んなの。それじゃ、あれが「エンド」っていうドラゴンじゃないの?』

「う~~ん違うと思うよっ『END』は黒くて、もっと強いと思うよ?しかもオスだと思うし。メドに求婚してるくらいだから」

『ふ~~ん』

「あ、でも、ENDの事何か言ってたから、もしかしたらENDの事知ってるかもっ!だってENDさまっていってたもんっ!」


 そう確かに『ENDさまから捕獲――』がどうたらこうたら言っていた。


『え、そうなの? だったら縛り上げてさっさと吐かせるの! 拷問なのっ!』


「ええっ! し、縛るのぉ!わ、わたしそういうのはちょっとまだ早いと思う、だってまだお互いに何も知らないし…… それにわたしだって、そんな経験……ごにょごにょ」


『早いなの? 遅いとか早いとかあるの?』


「え、あ、あるに決まってるでしょっ! いきなり初対面で縛るなんて、わたしは違うと思うよっ!メルウちゃんだって、いきなり縛られたら嫌でしょ? 不安になるでしょ?」


『う、う~~ん、そうなの? そう言われると、あたちも嫌かもなのぉ?』


「でしょっ!! だからここはわたしに任せて、メルウちゃんはもう少し寝てていいよ? まだ眠いよね?」


『うん、それじゃよろしくなの。あたちはもう少し寝るの。寝不足はお肌の天敵なの。だからここはフーナお姉さんにお任せするの』


「うん、任せてっ! じゃおやすみなさい、メルウちゃんっ!」

『何かわかったら連絡するの。よろしくなの。ふわぁ~~』


 そう言ってメルウちゃんの声が聞こえなくなった。



 その代わり、


「フーナさま、ワタシの事縛るの? それとワタシ眠くないけど」


 とメドの声が聞こえてきた。


 さっきのメルウちゃんとのやり取りが聞こえてしまったのだろう。

あれ?私、心の中で話してたと思ったんだけど……………


「と、ちがうよぉっ!そんなことしないよぉ!――――まだ?」

「え、するの?」

「しないよぉ!ちょっとした冗談だよっ!…………今は?」

「したいの?」

「いや、いや、………………ちょっとだけ?」

「なら、また勝負するしかないよ」

「う、腕相撲っ!!」

「それはダメ」

「~~~~~~っ」


「う、う~~~~ん、あ、あれ?」


「あ、目が覚めたっ!」

「そうみたい」


 私とメドがおしゃべりしてる間に、メドの後ろで青いドラゴン幼女の声が聞こえてきた。大丈夫そうなら、色々と聞かないといけない事があるもんね。


「ねえ、大丈夫?」

 

 私はチョコチョコと駆け寄り、青い幼女ドラゴンに声を掛ける。


「ああっ! お、おまえはっ!!」

「も、もう、何もしないから、そんなに怖がらないで大丈夫だよっ?」


 私は目が合って、驚きの声を上げる青い幼女ドラゴンに諭すように、優しく声をかけた。ってかメドの時もそうだけど、いちいち名称が長いっ!青い幼女ドラゴンだから、略して『アド』。これで決まりっ!



「お、お、お、お、おまえは誰だっ――――」

「ねえ、アド。もう私は敵じゃないよ? お姉さんだよ?」


 私は両手を挙げて敵じゃないアピールをする。

 相変わらず袖がダラってなるけど無視する。


 すると、


「――――――そして俺は何者だァァッッッ!!!!」


「へっ?」

「………………」


 そんな絶叫を上げるアドに私は驚いた。


『も、もしかして、記憶喪失っ!? わ、私のせいっ!?』


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