第5話、とんでもないスキル!!

口が俺の意思とは関係なく動き出す。


「プリズン!!」


これから起きる奇蹟を呼ぶようにゴゴゴゴと大地が哭く。


「なっ、なにっ!!まさか‥‥本当にそのスキルが存在していたなんて‥‥ありえない。サクト‥‥貴方まさか‥‥‥」


まるで俺が最初からこの技を知っていたかのように技名は自然と口から出たのだ。


それと同時に「バァン!!」という音と共に俺に迫るファイヤーボールは消滅した。


そう、ファイヤーボールは目の前の床から突如姿を現した鉄格子のようなもので防いだのだ。


鉄格子は、ジュウウウッと音を立てながら、それでも溶けることはなく目の前に存在した。


それは、間違いなく鉄壁。


俺はとんでもないスキルを手に入れた。


それに、「プリズン」っていう技名がカッコいいよなぁ‥‥なんて惚れ惚れしていた。


が‥‥待てよ‥‥「プリズン?」


サクトがに気づいたときには、既に遅かった。


サクトの周辺をズゴゴゴゴと地面が音を立て、無数の鉄格子が姿を現す。


一瞬にして、サクトの周辺は無数の鉄格子で囲まれた。


「なんで俺なんだよ!!」


プリズンとは日本語で牢獄‥‥


どんな攻撃でも防ぐけど、その代わり戦うことも逃げることも出来ない引きこもり能力とか‥‥


やっぱり転生しても、引きこもりスキルは健在していた。

いや、むしろパワーアップしていた。


ていうか自分を牢獄に入れて閉じ込めるとか‥‥

俺はとんでもないスキルを手に入れた。 


「プッ‥‥アッハッハッハッハ」 


鉄格子の向こう側で幼女が腹を抱えて笑っていた。


「あー、可笑しい‥‥あんだけカッコつけて‥‥プッ、自分が閉じ込められてやんの」


恥ずかしさで顔が赤くなる。


「うっ、うるせー!!

俺だって入りたくて入ってる訳じゃねーんだよ。

ていうか、なんで俺なんだよ。普通相手を閉じ込めるだろ」


ウガーッと鉄格子を掴んで抗議する俺。


「プリズンは、発動者の半径10メートル以内で最も罪深い人間を閉じ込めるスキル。あたしは女神だからあんたがブタ箱行きになったのね。プッ」


まだ可笑しくて仕方ないって感じの幼女。

あと、ブタ箱言うな。


「っで、これはいつになったら釈放されんだよ?」


「さぁ?プリズンなんて珍しくて使ってる人見たことないから、知らないわよ」


「マジかよ‥‥じゃあ下手したら俺ずっとこのままとか‥‥」


「あんたのことだから無期懲役もあり得るわね」


なんてケタケタと笑う幼女。


クソーと思いつつ、女神が見たこともない能力ということで、ちょっと嬉しかったりもする。


この能力、悪人相手ならかなり効果的だし。


「まあ、なんにしてもプリズンの効力が無くなるまではここに居るしかないわね。出れないんだし」


「そうだな。じゃあ、まあ‥ここに居るまではよろしく」


そう言って俺は鉄格子の間から手を出した。


「太陽の女神ステラよ。とりあえず、よ‥よろしく」


ステラは頬を赤く染め、照れくさそうに俺の手を握り返した。


こうして、ここでの生活が始まった。(幽閉中)


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