第6話

白い毛をしたわたしの子供がいなくなってからしばらくたって、寂しさにもずいぶん慣れてきたころ、今度は人間の大きくなった中ぐらいの女の子がおうちに帰ってこなくなったの。

おっきい女の人と男の人は「仕事」「1人暮らし」とか言ってたけど、わたしには何の事かよく分からないの。ただもうおうちには帰ってこないんだなぁってことしか理解できなかったの。



わたしがこのおうちに来てからもうずいぶんとたくさんの日がたったの。寒い時期が7回か8回位来たし、わたしもずいぶんと年をとったの。

散歩は相変わらず好きだけど、前みたいに全力で散歩コースを走るよりも、臭いを嗅ぎながらゆっくりと歩きたくなったし、ご飯もお腹がパンパンになる位食べるよりも、その少し前で大丈夫になったし。あ、でもたまーにくれるとびきり美味しいオヤツはいっぱい食べるの。



人間の女の子がいなくなってからしばらくたって、おうちの人達がちょっと変わってきたの。

大きい女の人と大きい男の人が大きな声で何か話してる声が良くするようになって、ちっちゃかった今は大きな男の子はおうちにいる事が少なくなったの。前はみんなでテーブルでご飯を食べてて、わたしとくるくるの毛の男の子はそれを下で眺めているのが普通だったのに、今はテーブルでみんなでご飯を食べることはほとんどないの。


人間の人達の笑い声もほとんどなくなっちゃって、賑やかだったおうちが今はなんだがどんよりしてるように見えちゃってつまんないの。

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