100万ドルの五稜星の感想Ⅱ

そしてエンディング後に2つの進展があった。


まずはエンディングを挟んで前後で平次の告白、和葉の返事があったが、平次の告白の段階ではようやくくっ付くのかな、と思えるくらいに大きな告白を封じる理由がなかったなと思えたが、告白の直前で伊織のミス(わざと?)によった目眩ましと爆音のせいで平次の告白そのものが何も聞こえていなかった。そりゃそうか、と思えてくるが、またしても失敗に終わってしまった。紅葉と伊織の策略は彼らにとっては作戦通りではない成功だったと思う。ここ最近は周りの環境等よりも紅葉と伊織の邪魔の方が告白を出来ない環境を作り上げていると思う。


もう1つは黒羽盗一と工藤優作の血縁関係である。ずっと新一と快斗の顔、声が似ていると言われ続けている理由が遂に判明したのだ。映画の冒頭からキッドを新一に似てると言われ、コナンを快斗に似ていると言われて何らかのことが明らかになりそうな気がしていたが、そういう落ちになるとは思いもしなかった。しかも有希子が弟子入りしたのが自分の生き別れの双子の兄であることを理解していたようでもある。ずっとメールで連絡を取り続けているようであるが、盗一の生存を伝えているものなんだなと思った。有希子に盗んだ刀を送ったのはなぜなのかは正直疑問である。さらにまじっく快斗に登場した黒い衣装のキッドもどきが盗一であることも分かった。盗一だろうと思いつつも千影さんかなと思っていたので少し残念だ。作中で明確に黒羽盗一という名前が出ていないし、黒いキッドの詳細も明かしていないので「工藤新一少年の冒険」やまじっく快斗をよく理解した人でなければどういうことかは理解できなかっただろう。果たして映画を見た人の中でどのくらいの人がここまで理解できているだろうか。


全体を通してコナンの原作の内容だったり青山先生の他の作品だったりが大きく絡んでくるので様々な予備知識が必要だったと思う。コナンの原作での話は理解出来ていたとしても『まじっく快斗』での登場人物や人間関係まできちんと理解するのは少し難しいのかもしれない。コナンの本編には怪盗キッドと中森銀三警部くらいしかちゃんとは出てきていないと思うので中森警部の娘の青子や黒いキッドなどを理解出来ていない可能性は大いにある。青子と快斗の関係、そして中森警部と快斗の関係性は劇中で大事だったかもしれない。また『YAIBA』の登場人物が出てきたことも分かっていると少し面白みが増したのかもしれない。沖田総司はコナンの本編でも少し出てきているので分かる人が多いと思うが、鬼丸まで分かっていた人はどのくらいいたのだろうか。コナンの本編でも1話くらい出てきたとは思うが、『YAIBA』のキャラクターであることを知らないかもしれない。


予備知識がなくても推理の部分で面白い作品だったと思うが、知識を持っているとより楽しめた作品だったと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る