若狭留美と宮野家
若狭留美は17年前の羽田浩司の事件の重要参考人の浅香でアマンダ・ヒューズのボディーガードである。若狭が席を外している最中にアマンダ・ヒューズが亡くなり、隠れている部屋で羽田浩司が殺された。黒ずくめの組織に対しての敵対心を抱いてはいるものの、“ヘルエンジェル”や“宮野志保”のような組織に所属する個人の情報を知っているのはおかしい。若狭がこれらのことを知っていたのは何故かについて考えていきたい。
まず状況を整理しておきたい。若狭は“宮野志保”というワードを聞いてヘルエンジェルの娘であるということや“ヘルエンジェル”こと宮野エレーナの情報を思い浮かべていた。APTX4869を復活させたというような組織の機密にまであたる情報をも若狭は知っているのだ。つまり組織についての情報を捜査機関くらいのレベルで知っているのである。いくら敵対心があって潰そうとしていても一関係者が持ってて良いものではない。
では一体どのようにしてこれらの情報を得ていたのだろうか。
有力な説としては若狭が捜査機関のコマとして動いているという可能性である。アマンダ・ヒューズのボディーガードとしての職務が終了した後に捜査員としてまたは捜査員の協力者として黒ずくめの組織と戦っている場合、上述の宮野家の情報を持っていることはそうおかしくないだろう。
若狭が何らかの捜査機関に関与しているとするとやはり有力なのはイギリスの諜報機関SISであろう。17年前の事件の現場にSIS所属の赤井務武が行ったことや日本にメアリーがいることなどからしてもSISと、というよりはメアリーと何らかの関係を持っていてもおかしくないと思う。
さらにメアリーは宮野エレーナの姉という立場であり、あまり交流がなかったとはいえ宮野家の情報を黒ずくめの組織について調べるために若狭に提供してもおかしくないと思う。メアリー自身もエレーナが黒ずくめの組織に関与していることは多分知っていたのでエレーナのところから調べていてもおかしくはないと思う。
こういった情報を知っている状態で“灰原哀=宮野志保”の可能性を示唆されると若狭はどういった行動をするのだろうか。
宮野エレーナは自分が慕っていたアマンダ・ヒューズが死ぬ原因を作った張本人であり、怒りの感情が若狭の中に浮かんでくることは容易に想像が付く。その娘であるというだけでも何らかの行動を示したくなるだろうし、母・エレーナと同様にAPTX4869を作っているのでさらに怒りが浮かんでくるだろう。
若狭がどこまで情報を知っているのかによるとは思うが、“毒薬を作っていたつもりはなかった”という状況の中でAPTX4869を作っていたことをだまされた被害者側であると捉えるのか、作ったのだから被疑者側と捉えるのかによって若狭の今後の対応は変わるだろう。
若狭が黒ずくめの組織を討伐したいという思いが強ければ組織から逃げ出した灰原哀という存在は重大な糸口になると考えて利用しそうである。組織の中核までの情報を知っていそうなので利用する価値が高いことは確かである。
ただ若狭と繋がっているであろうメアリーが灰原哀を利用すると思っているかどうかは怪しい部分がある。組織の色に一度でも染まった人を生かさないような気もする。ここで親族の情みたいなものが急に表れると嬉しいなと思う。
若狭が打倒組織のために必要な協力をしっかりとしてくれる人であることを願うばかりである。
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