APTX4869とは、幼児化とは、
APTX4869―それは相当危険な薬だ。“体内から毒が検出されない毒薬”という言葉の強さは並大抵の言葉では表せない。
今回はそんなAPTX4869について考えていこうと思う。
冒頭でも述べた通り、“体内から毒が検出されない毒薬”というのがこの薬の売りなのだが実際のところこの薬での死者は多くはない。完成してから間もないというのが大きいかもしれない。
薬を作った本人の灰原によればAPTX4869はアポーシスを誘導し、テロメラーゼ活性により細胞の増殖効果を高めるという効用がある。アポトーシスとはプログラム細胞自己死と言われるもので簡単に言えば細胞が自殺するということだ。普通我々の身体はガン細胞に免疫によってアポトーシスを促して正常に保っている。
つまりAPTX4869は人の身体の正常な免疫を逆手にとって細胞自身が死んだり分裂したりを促すことで毒として作用しているとのことだ。
また作中でも描かれているが、APTX4869を服用することは発熱反応であり、身体が熱く感じられる。これは一度解毒されて元に戻った後に再び幼児化するときにも表れるものだ。
ここで疑問に思うが、APTX4869を服用しても毒薬としてはたらく場合と幼児化の薬としてはたらく場合と二通りの作用が存在する。この二つの差は何なのだろうか。実際の描写で興味深いシーンがあった。
務武に変装したベルモットがメアリーにAPTX4869を飲ませ、メアリーが川に落ちたときにベルモットの顔がひきつっていたというかそれはダメだ、というような表情を見せていた。これはベルモットがAPTX4869の効用について知っていたことがあったからではないだろうか。
ベルモットと言えばコナンが幼児化していることを知っている人物の一人である。しかも彼がAPTX4869を服用していることも知っている。ここから考えるにベルモットは細かい原理こそ知らなくてもAPTX4869に幼児化の効用があることとどうすることでその効用が出るのかを理解している。
その幼児化の効用を出すためのものこそが“水”である。前述の通り、APTX4869の服用は発熱反応で思うに人の身体が耐えうる温度ではないのだろう。それでも生きているということはこの身体を何らかの方法で冷やす必要があるのだ。その冷やす方法というのが“水”ではないだろうか。
実際に、コナンが幼児化したときにはコナンの前を通ったトラックが水溜まりを勢いよく走っていて灰原のときは博士が見つけたときには傘を指している。そしてメアリーは川に入っている。
こう見てみると幼児化の必要条件はAPTX4869の服用かつ身体を冷やすことだと考えるのが妥当だと思う。
ただ、このときに矛盾しうるのが解毒のときである。どう見ても発熱しているとは思うのだが、何故このときには身体を冷やさなくてもよいのか。ここは疑問に思わされるところではある。
一つ可能性の話になるが、解毒できる条件として風邪を引いている、熱っぽいというのがある。この状態で幼児化が解除されるのはある意味ではAPTX4869服用の逆反応で身体が熱いかつAPTX4869の作用の逆の作用を持つものを服用することで一時的ではあるが大人の姿になれるのではないだろうか。そのため、身体の熱程度しか身体が熱くはならないのだろうと思う。一時的に元に戻る理由として完全に戻るのには熱が足りないからだろうと思う。本来は身体を冷やさなくてはならないほどの熱が必要だからそうなっているのだろう。
こうなるとどうやったら永久的に元の身体に戻れるのか、並みの人間ではできない気がしてきた。名探偵コナンの最終回はもしかしたらないのかもしれない。さすがに黒の組織のデータで元に戻る方法はあるとは思う。この薬の新の目的が幼児化ならば尚更だ。副作用だとしても研究者も一流だし、何かが残っていると私は信じている。
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