しかしながら、私も情けないと言えども雄であります。そのため、性欲というものを頭の中での想像だけではいよいよ満たせなくなりました。


そこで、電話をかけやって来た女性に対価を払う代わりに望みの性的行為をして頂けるデリバリーヘルス、というものを利用してみようと思い立ちました。


ただ、思い立ったのはそこまででいきなり完璧な『をんな』様とお会いして無礼な立ち振る舞いをしたらどうしよう、また先ほども書いたように決して苦痛を欲しているという訳でもない……。


率直に申し上げますと、1人の『をのこ』としての振る舞いに自信もなく、また望まれないことをされるのではないかという恐怖も確かにあったのです。


ですから、歴戦の『をんな』様ではない……。つまりは女性に恥部を曝けだすという導入の意味で新人の方を利用してみようと思い、電話をかけるに至ったのであります。


ここでようやく冒頭のあの女性の名が出て参ります。あの女性の仮の名、源氏名は私に取って幸か不幸か『ナオミ』というものでした。


『ナオミ』の紹介を見ると、顔全体にぼかしは入っておりますが化粧は濃い方ではなく、少女のような顔立ちをしているように見て取れました。


髪の毛は烏の濡れ羽色のように薄く青みがかかった豊かな黒髪が、腰まで柳葉のように垂れておりました。身長が高く胸が目を引くほどの大ぶりではない代わりに真っ直ぐな、まるで男の子のようなすっきりとした脚をもっていました。

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或る男 @mental_health

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