第9話 王弟殿下はお婿にいきたい ~ここが土下座の使い時~

 ひと働きして帰ってくると、オスカーとケヴィン兄貴が待ってた。奴の過去と妄執の原因を話す。

「あきれたもんねぇ」

 それがケヴィン兄貴の総評。おおむね同感。

 何か考えてたオスカーはやおらきいた。

「ねえ。パパは前世の記憶って初めから持ってたの?」

「いいや。子供の頃突然戻ったんだ」

「へえ。どんなふうに?」

「よくぞきいてくれた」

 俺はこぶしを握った。

「あれは俺とソフィアが初めて会った日、そして未来と再会できた記念すべき奇跡の瞬間。いやマジで再会した途端同時に思い出すとか運命じゃね? 人目でお互い分かったんだし、やっぱ赤い糸で結ばれてると思う」

 うっとりして言ったら、冷たくぶった切られた。

「キモイ」

「相変わらずの乙女脳ねェ。アンタ前世でフラれた原因っておおかたそれなんじゃないの?」

「…………」

 ……違うと思いますたぶんハイ。

「それより小さい頃からソフィアってほんっと美少女でさー。年より大人びて凛としたとこがカッコイイの。頭の回転も速くて、宰相の娘だけに立ち振る舞いも優雅、優しくて強くて曲がったことは許さない正義漢の持ち主でそれから」

「そこらへんでやめようよ」

「あきらめなさい、オスカー君。コイツがソフィアのこと語りだしたら止まらないわ」

「だよね。しってる」

「クール系美少女ってソフィアのためにある言葉だよ。腰まであるロングヘアに、瞳の色と同じ赤いドレスが似合ってたのなんの。はあ、思い出すだけでウットリ。ソフィアってシンプルでスタイリッシュなのが似合うよな。胸の赤薔薇のコサージュと同じ髪留めしててさ、ああ薔薇って気高いソフィアにぴったりだなぁと」

「はいはい」

「あ、見たい?」

 小型のアルバム出してみせる。

「うわぁ……。もちあるいてるの?」

「厳選したやつだけな。ありすぎて絞るの苦渋の決断なんだなこれが」

 オスカーがものすごい疑いのまなこで、

「盗撮してないよね」

「してない! 俺をなんだと思ってんだよ!? ちゃんとソフィアに撮るよ~って申告してから撮影してます!」

「許可した覚えはない!って直後に毎回怒られてるじゃないの」

「そこまでがワンセットだよ」

 フッ。

 俺が猛アタックしてソフィアにどつかれるまでがテンプレです。

「かわいいだろ~。もう、天使か!って感じだよな。むしろ女神? ああ尊い……」

「落ち着け」

 男言葉に戻ったケヴィン兄貴にツッコミくらった。

 そのスリッパどこから出したの?

「なんで。俺、一日中これ眺めて暮らせるよ? 本物ならなおさら。美しいとかそういう次元突き抜けてる……あー、語彙力のなさが恨めしい。ソフィアの魅力伝えるには何万語あったって足りないよな。詩を作って贈ろうとしたこともあるんだけど、この想い表現しきれなくて」

「キモさのレベルがさらにあがった」

「同感」

「でさぁ、ならいっそ曲にしよう!って作曲したんだよ。歌詞はあえてナシ。表現しきれない」

「うわぁ、ドン引き」

「しかもねオスカー君、それが上手くていまだに大人気定番ラブソングなのよ……才能あるだけにやってらんないわァ……」

「うれてるの!?」

 売れてる売れてる。ロングセラー。

「後で聞いてみたら? コイツこれでも第三王子で、ピアノだのバイオリンだの基礎教育は受けてるしね」

「今聞く? あるぞ」

 カードみたいな記録媒体を出す。再生機能付き、いつでもどこでも気軽に聞けます。

 ケヴィン兄貴がぴしゃりと言った。

「後にしろ。話進まねえんだよ」

「ちえ。ま、後でじっくり聞きな。ほかにも絵も描いたぞ」

「……いちおうきくけどどれだけあるの?」

 嫌な予感がするみたいにきくオスカー。

「五万八千三百九十七枚」

「かぞえてるの!? うそだよね?!」

「ホントよ。絵の才能は人並みなくせに、ソフィア描くとハンパない画力発揮するの。オスカー君、いい? 絶対にこんな大人になっちゃダメよ」

 真剣に言い聞かせるケヴィン兄貴と真面目にうなずくオスカー。

「うん。ぜったいならない。やくそくする。むしろよくママ結婚してくれたね」

「アタシも実はそう思ってるわ」

「だから俺たち運命の赤い糸で結ばれてたんだよ~」

 フフフ。

 にまにま笑う俺から二人とも物理的に一歩引いた。

「で、何の話だっけ? ああ、今世初めて会った時の話だったか。うん、じゃあ語ろうじゃないか」

「やっぱいいかも」

「そう言わず聞け。聞かなくても勝手に話すけど」

 幼少時のソフィアの写真を眺めつつ話し始めた。


   ☆


「婿養子に、俺はなる!」

 どっかの海賊の王様みたいにキメ顔で宣言したのが、記憶を取り戻して最初のセリフだった。

「ちょっと待って」

 すかさずオスカーがツッコんだ。

「どこからツッコんだらいい? ねえ、言いたいことありすぎるんだけど!」

「いちいちツッコんでたら身がもたないわよ」

「そうそう。で、続けていい?」

 ソフィアと初めて会ったのは、忘れもしない七歳の時。

 この国は王族であっても就学年齢になると学校へ通う。庶民と共に学ぶことで色んなことを知ってこいって方針だからだ。

 まして俺は後妻の子で第三王子。かなり規制も緩かった。

 宰相の娘もそろそろその年齢ってことで、入学すればいずれあれこれ関わるだろうからと、事前の顔合わせだった。要するにケヴィン兄貴みたくサポート要員な。

 あと、もう一つの意味もあった。それが当時の俺は気に食わなかった。

 三男坊の俺はいつか臣籍に下る。それか他国の王女んとこに婿に行くんだが、俺は記憶に関する特殊能力があり、それはまずいとされた。特殊能力の持ち主は確保しておきたいのと、外部にバレないようにだ。

 その点、腹心である宰相のとこなら安心。ちょうどよく一人娘とあり、婿入り先の最有力候補だった。

「お見合いなんて冗談じゃないよ」

 嫌がる俺に父上は諭す。

「まあまあ。なにも今決めろとは言ってない。とりあえず今は友達としてどうかと言ってるだけだ。あの宰相の娘だけあって優秀らしいぞ」

 まだ子供同士とあって、公的な会見じゃなく私的な訪問扱いだった。場所も遊べるようにと庭園で。

「失礼します」

 薔薇のアーチをくぐって宰相と夫人、その子供がやって来た。

 三人とも臣下の礼をとる。

 年下なのにずいぶんしっかりした子だな。マナー完璧。さすが宰相。

 最初の感想はそれだった。

「こちらが娘のソフィアです」

「おお、これはかわいらしい娘さんだな。そんなかしこまらずに顔を上げなさい。これがうちの末息子でな、アホだから君にはコレのフォローを頼みたい」

「かしこまりました」

 少女は面をあげ、俺を見た。

 その瞬間お互い固まった。

 一気に脳内を膨大な記憶が駆け巡る。

 真っ先に浮かんだのは、後悔と悲しみ……そして何より安堵だった。

「未来

 ようやくのことでその名を口にする。

 俺の、たった一人の人。

 俺がただ一人愛した人。

 好きで好きで。だけど嫌われて。それでも彼女だけを想い続けて俺は人生を終えた。

 独りぼっちで、誰にも看取られることなく。

 ……最期に願ったのは。

 彼女に会いたい。やり直したい。

 次は間違えない。彼女に愛してると、最初からきちんと伝えるんだ―――。

「光輝」

 彼女が呼んだのもその名だった。

 昔と違う声、姿かたち。でも紛れもない未来だ。

 ―――もう二度と呼んでもらえないと思ってた。会うことも叶わないと。

 想いがあふれて彼女にしがみついた。

「未来! 未来……!」

「ぎゃああああああ!」

 ソフィアが悲鳴あげたけど耳に入らなかった。

 ぼろぼろ涙が出る。止まらない。

「ごめん。何度謝っても足りないのは分かってる。だけど。未来、好きだ。ずっとずっと、最初から君が好きだったんだ。愛してる……!」

 言いたいことはたくさんあるのに、後はもう嗚咽で言葉にならない。

 元々アホな言動が多いとはいえ、第三王子が年下の女の子にすがりついて号泣してるのは異様だったろう。

 両親も兄たちも、宰相夫妻も呆然としてた。

 パニクッたソフィアは全力で押し返してきた。

「離しなさいっ、光輝こうき! このバカ!」

「嫌だ離さない! 今度こそ未来と結婚するんだ!」

 反対に逃がすものかと抱え込む。

「顔面ブン殴るわよ?!」

「いいよ。それでも離さない。未来、好きだ!」

「人の話を聞け!」

「聞いてるよ。ねえ、今すぐ結婚しよう」

 キレたソフィアは大声で怒鳴り返した。

「できるか! 年を考えろ! つーか、あたしはあんたなんか大嫌いだって言ったでしょうが!」

「うん、俺は大好き!」

 話が通じない、とソフィアは判断したらしい。

 ミシッといい音がして顔面に左ストレートたたきこまれた。

「ぐふッ」

 さすがにちょっと腕の力緩んだけど、すかさず抱え直す。

「うわっ」

 さしもの宰相も慌てた。

「こ、こらソフィア!」

「こればっかりは止めないで父様! ええい、離れろ~っ!」

「……うん。よく分からんが、ソフィアちゃんが悪くないことだけは分かってる。ノア! やめなさい!」

 父と兄たち三人がかりでひきはがしにかかる。

「ちょ、痛い」

「だったら離せ!」

「小さい女の子にいきなり抱きついて離れないとか、殴られても当然だろ!」

「まかり間違えば犯罪だぞ!」

「……痛みがあるってことは、まぎれもない現実だよね」

 フフフ。

 どこかうれしそうな俺に、父たちは文字通り身を引いた。

 ソフィアもドン引きして上体をのけぞらせる。

「あ、あんたそっちのケあったっけ……?」

「ないよ。ただ未来が現実にここにいるのがうれしいだけ」

 何度も夢に見たんだ。夢の中じゃ俺に都合よくできてて、未来はいつも笑って俺を許してくれた。

 現実にはこうやって怒るよなー。うん、それでこそ本物の未来だ。

「またこうして会えたってことは、俺たち運命の赤い糸でつながってたんだね」

「つながってない!」

「なあ、ところで俺たちなんでここにいるんだろ? あ、なるほど。哀れな俺の最期の願いを神様か仏様か誰か知らないけど叶えてくれたんだな!」

「そんな余計な真似する神がいたら出てこい。横っ面張り倒してやる」

「未来、好きだよ」

「あたしは嫌い」

 ああ、ゴミを見るような目が癖になりそう。

「付き合ってくださいお願いします」

「断る」

「じゃあ結婚して」

「後のほうがレベル高いわ! 百歩譲ってもない!」

「千歩譲って結婚しようよ」

「どこが譲ってんの?! ともかく離れろ!」

「やだ! 殴ってもいいし、何でも言うこときくから! キモかろうがしつこかろうが、今度はどこまでも追いかけてがんばって口説いてとりすがって泣き落として、どんなにあきれられてもあきらめないって決めたんだ!」

 魂の叫び。

 本気で言ったのに、とうとう父上のゲンコツが脳天直撃した。

 間髪入れず首根っこひっつかまれ、両腕を兄上たちに取り押さえられてひきはがされる。見事な連係プレー。

「嫌だー! うわーん、未来――!」

 マジ泣きする俺をソフィアはひきつった表情で見てたと思う。

「宰相、すまんな。一旦娘さん帰らせたほうがいい」

「訳が分かりませんがそのようですね」

 宰相夫人がソフィアをせきたてて連れて帰ってしまった。

 うわあああ、俺の未来が――!」

「……未来ぅ……」 

 ソフィアがいなくなった途端、しょんぼりしてしゃがみこみ、めそめそ泣く俺。

「……あれ、大丈夫かこれ?」

「ダメなんじゃない?」

「だよなあ」

 えぐえぐ。

 ……よし。

「宰相、ノアとソフィアちゃんて前に会ったことあるのか?」

「さあ……。かもしれません。娘も一人で勝手に出歩いてることありますので」

「ノアもフラついてる時にどこかで会ったか。それで間違いなく迷惑かけたんだな」

 俺が何かしでかしたと疑わない一同。

 ひどくない? その通りだけどさぁ。

 俺はがばっと顔をあげた。

「―――婿養子に、俺はなる!」

 拳握って決意した。

「は?」×5

 五つのはてなマークが飛ぶ。

 俺はその場で土下座した。

「お願いします。彼女と結婚させてください」

 真剣と書いてマジと読む。

「ちょオイ、ノア、土下座とか!」

「おま、ちょっと落ち着け?!」

「落ち着いてるよ。一生のお願い」

 ここで使わないでいつ使う。今こそその時だ。

 これでも頭フル回転させて計算した上での行動だ。

 どうやら俺と未来は転生したらしい。理由なんかどうでもいい。未来と会えた、それだけで。

 未来の今世の名前はソファかぁ。知性……彼女にぴったりだ。

 ちょっとキツめの顔立ちがクールビューティー。赤くて長い髪が炎みたいで美しかった。触ったらサラサラでめっちゃ手触りよかったし、体も柔らかくていいにおいがしてあったかくて小さくて最高。

 未来と最初に会ったのも小1だったっけ。うわ、懐かしい。初めて見た時からキレーな子だなと思ってたんだよ。

 つまるところ一目惚れでございます。

 大人っぽくて頭良くて正義感の強い未来に惚れてる男子は、実はけっこういた。ライバルが多かっただけに俺は焦って、注意を引きたくてついいたずらしてしまった。

 その結果嫌われて……あー、思い出すとへこむ。

 いやいや、ここでくじけちゃいけない。

 二度とあきらめるもんか。

 幸いソフィアは俺の婿入り先最有力候補。この状況を利用しないテはない。

 ……それにしてもかわいかった! 

 思い出してうっとりしてると、父上に引き起こされた。

「こらノア!」

「俺は本気だよ。ソフィアじゃなきゃ嫌だ。彼女以外とは結婚しない!」

 普段いいかげんな俺の本気の訴えに、全員マジだと悟った。

 父上は宰相を振り返り、

「……どうする? わしとしては元々考えていたことでもあるし、ノアがここまで望むなら賛成だが。しかしむろん強制ではない。正直な意見を聞きたい」

 父上……!

 ぱああっ。

 宰相は考えながら答えた。

「一国の宰相としてならベストな選択だといえましょう。ですが親の立場から言わせて頂ければ、娘のあの反応では少々お待ちくださいと申し上げるところです」

「……っ」

 俺は悲痛に顔をゆがめた。

 また未来が他の男と結婚するって聞かなきゃならないのか?

 あの時の公開と絶望が押し寄せてくる。

 未来は……俺と違っていい男と結ばれ、子供にも恵まれて幸せな人生だったんだろう。そんな姿を見たくなくて、辛くて辛くて、俺は遠くへ行った。

 遠くからなら彼女の幸せを願えるかもしれないと。

 忘れるのは無理だった。生涯ただ一人の愛した人だったから。

 宰相は冷静に続けた。

「娘の意に添わぬ結婚を指せるつもりはありません。逆に言えば、ソフィアが承諾すればよいということです。ですから殿下が正々堂々娘を口説き落とすのには反対も邪魔も致しません」

「…………」

 わざわざ釘さしてきたな。つまりは力は使うな、誠意をもって行動しろってことだ。

 望むところ。

「当然だろ。ソフィアに力は使わない。言葉と行動で好きになってもらう」

 はっきり約束した。

 そうと決まれば俺の行動は早かった。

 人前で堂々と「好き」って言いまくり、大々的にアピール。俺がソフィアにベタ惚れでアタックしまくってると周知させた。

「ノア殿下が宰相の娘好きみたいだ。あーあ、かわいいから狙ってたのに」

「アホでも王子の想い人ならあきらめるしかないな」

「しょうがない。アホだけど」

「うん、アホだけど」

 なんでみんなそんな感想?

 ま、第三王子はバカでいいんだけどさ。

 ともかく計画通り。立場と権力をここぞとばかりに利用しまくった。今度はかすめとっていかれてたまるか。

 周りは暗黙の了解となり、あとはソフィア本人の了承のみという状況を作り上げた。

 学校の休み時間、ソフィアのデレたところ妄……想像してにまにまして歩いてたら、話声が聞こえてきた。

「ソフィア嬢、やっぱいいなぁ……」

 なんだと?

 物陰に隠れてのぞくと、クラスメートの男子たちが話していた。どっちも高位貴族の子弟だ。

「分かる。ノア殿下が求婚してるのは知ってるけど、なぁ」

「まだ正式に婚約してるわけでもないし。宰相閣下は他に好きな男がいるならそっちと結婚させてやりたい方針なんだろ? まだチャンスはあるってことだ」

 ―――。

 俺は歯を食いしばった。

 足の先まで冷えてくのが分かる。

 また未来をとられる。

 恐怖が全身を支配し、体が震えた。

 無意識に自分の手を見下ろす。

 俺のこの、人の記憶を『見る』ことができる能力。ただこの当時は小さかったせいか未発達で、使いこなせてなかった。単に『見る』ことしかできないと思ってたんだ。

 異世界転生モノお約束のチート能力がこの時、皮肉にも開花した。

 俺はフラフラ歩み出た。

「あれ、ノア殿下?」

「どうしたんですか? 顔色悪いですよ?」

 無言で彼らの頭をつかむ。

 相手は人形みたいに虚ろな表情になった。目からスーッと光が消えていく。そのままそこにへたりこんだ。

 俺は何事もなかったかのように歩き去った。

 ……次に気付いた時は城で一番高い屋根のてっぺんにいた。

 いつの間にか夕方になっていて、空が赤い。どうやらぼけーっとしていたらしい。

 俺は独りになりたい時よくここに来る。

「……あれ? 俺、何してたっけ……?」

 まぶたをこする。

「記憶があいまいだな。いつ学校終わったっけ。おかしいな……。……って、ソフィア!」

 城門のところに馬車が着き、そこからソフィアが出てきたのを認めて跳ねるように立ち上がる。

 相当距離なくね?というツッコミは不要。大好きなソフィアの気配に俺は聡いのだ。

「今日はオレンジ色の服かぁ……裾にレースついててかわいいなぁ。情熱的な夏の花みたい。ソフィアは赤系統似合うよね。はッ、しかもツインテ―ル……だと……?!」

 喜びに打ち震える。

 ツンデレはツインテ―ルだよね。

「未来もツインテにしてた日あったっけ。死ぬほど眼福だった……っ。未来大好き!」

 城の文字通りてっぺんで愛を叫ぶ第三王子。しかも独り言。

 後でキモイとソフィアにドン引きされたのはなんでだろ。

「常識って知ってるか?!」「羞恥心を持て!」って兄たちのツッコミが聞こえてきそうだ。

「あああソフィアかわゆい。もっと近くで見ねば! だってきっと俺に会いに来てくれたんだもんね?」

 再会してからというもの、ソフィアは時々うちに来るようになった。理由は俺を叱るため。好きな子が会いに来てくれるなら、叱られようがなんだろうがどうでもいいです。

「ソフィア待ってて、今行くよ! とーうっ!」

 屋根の上から大ジャンプ。

 某アクションゲームの配管工ならHP一個消えるな。

 大丈夫。魔法使えばノーダメージだもん。そもそもソフィアと幸せにならずに死ねるか。

「―――っちょ、ノアあああああ!?」

 こっちに気付いたソフィアが叫ぶ。

「アホかあんたは何やってんの?!」

「最速でソフィアに会いに来た!」

 どーん。

 ダーイブ。

 空から飛び降りて抱きつく。

「離れろバカ!」

 べしべし頭叩かれる。いててて。

 付き添いの宰相夫人や門番、通りすがりの人々がこぞって残念なものを見る目向けてきた。

「ケガするでしょ、やめなさい!」

「しないよ。着地失敗したら、みっともなくてソフィアにあきれられるじゃん。かっこいいって思われたいのに、ミスるわけがない」

「キメ顔で言っても効力はないわ。あんたの行動は全部かっこ悪いから安心しなさい」

「ええー」

 そんな殺生な。

「でも俺に会いに来てくれんでしょ? 俺はソフィアに毎日会わなきゃ死んじゃう病気にかかってるんだけど、ソフィアも寂しかった?」

「ふざけんな、寝込んでしまえ! ったく、学校フケてぼーっとしてるっていうから心配して来てやったのに……」

 え?

 よくよく見れば、ソフィアの頬にちょっと照れが。

 ぐはっ。

 デレ、キタ――ッ!

 歓喜の雄たけびをあげる。

「く……か、かわいい、もはや尊い! 至近距離でのデレ、ごちそうさまです」

「はあ? デレてないし」

 唇とがらせてちょっと赤くなって横向いてるのはデレっていうんだよ。

「ウフフフ、素直じゃないなあ。そんなとこが好き。あ、心配ないよ。今ので超元気になった」

 ぜひ今の撮らせてくれない?ってカメラ取り出したら本気で怒られた。

 遅いよ。ばっちり撮らせてもらいましたとも。

 永久保存するんだ。わーい。

「はあぁ、俺、ソフィア見てるだけで何も食べなくても生きていけそう」

「食事はとりなさい」

「心の栄養は大事だよ! ソフィア補給しないと死んじゃう!」

「ウザいこと言ってないでのけえええええ!」

 ぐぎぎぎぎと顎押し上げられた。

 本気なのにー。

 ……ん?

 ふと、昼間の男子のうちの一人が遠くに見えた。城内勤務の親と一緒にいる。何か用事があって来たんだろう。

「―――っ」

 俺はとっさにソフィアをきつく抱きしめた。

「ちょ、ノア。何なのよ!?」

「…………」

 唇かみしめて耳に魔法をかけ、彼らの会話を拾う。

「……あーあ、ノア殿下またやってる。仲が良くてなにより」

「おや? お前、宰相のご令嬢好きじゃなかったか?」

 父親の質問に少年はきょとんとして、

「え? なんで?」

 そこには昼間のソフィアに対する恋情はカケラもなかった。

 演技なんかじゃない。本気でいぶかってる。

 なんだ? まるで、初めからなかったかのように……。

「―――」

 まさか。

 愕然とした。

 血の気が引く。

 俺……か?

 俺がやったのか?

 青くなりながら己が手を見る。

 人の記憶をのぞける能力じゃなかったのか、これは。

 もちろんそれもできるけど、もっと広範囲の能力だった? 記憶の消去もできるような……。

 ソフィアをとられたくないと強く願った俺は彼らのソフィアに対する恋情と、消去残後のことも削除してしまったらしい。

「……っ」

 俺は……なんてことを……!

 自分のしでかしたことを悟り、蒼白になる。

「……ごめん、ソフィア……」

 ソフィアは俺を見上げて眉をひそめ、

「ん」

 おもむろに俺の頭に手を乗せた。ぽんぽんと優しくなでてくれる。

「……ソフィア?」

「事情は分からないけど、とりあえず黙ってこうされてなさい」

「…………」

 涙が出そうになった。

 どうして。

 ……何で君はこうも優しいんだ。

 今も、昔も。

 彼女の肩口に顔をうずめて泣きそうなのをごまかした。

「よしよし」

 ソフィアは仕方ないなぁというように、しばらくなでてくれていた。


   ☆


 しばらくして落ち着いたと判断したソフィアは俺の顔を上げさせた。

「場所変えよっか。おいで」

「うん」

 自分より小さい女の子の袖ちょんとつまんでうれしそうについてく末息子を、駆けつけた家族が見た時の反応は以下。

「ソフィアちゃんもよくあのおばかの面倒みてくれるわね……。さすが宰相の娘だわ」

「引き取りて見つかってよかったな」

「うん、すばらしいまでの躾けっぷりだ」

 犬か。

 まぁ大人しく飼い主の言うことに従ってる犬っぽいかも。

 ソフィアは俺を振り返り、

「で、あんたほんとに具合悪いとかじゃないのね?」

「え? うん」

「一応差し入れにプリン持って来たんだけど」

「プリン! 食べる食べる!」

 わーい。

「プリン一つでここまではしゃぐって……」

「何をおっしゃいますやら、父上殿。おいしいじゃん。それに何よりソフィアが持って来てくれたことが重要なんだよ! ね、もしかしてソフィアの手作り?」

「普通に料理長作に決まってるでしょ」

「そっかぁ。今度ソフィアの手料理食べさせてよ」

 ソフィアは端正な顔を思いっきりしかめた。

「なんで。嫌」

「えー。ソフィアの手料理食べたい食べたい!」

「だだをこねるな。子供か」

「子供だもん」

 大人の記憶持ってるでしょと言いたげな目を向けられた。持ってはいるけど、今の俺は紛れもない子供じゃん。何もおかしくないよ。

「そういえば俺の好物覚えててくれたんだ。ていうか、知ってたんだ」

 今世言った覚えはないから前世の記憶だろう。

「ちゃんと覚えててくれたなんて、ソフィアの愛情を深さを感じるね!」

「そんなものはない。あんたが例によってアホなことしてたんで印象に残ってただけよ」

 そうだっけ。なんだろ、給食のおかわりジャンケンで勝った負けたとかそういうのかな。

 王族がプライベートな来客と会う時用の部屋にソフィアを通し、スイーツタイム。

「ソフィア見ながら好物食べられるなんて至福~」

「ウザっ」

「ほんとに愛情表現がウザいやつだな……」

 あきれる兄たち。仕事に戻った両親のかわりに兄たちは俺がやらかしてソフィアに捨てられないよう見張るため残ったらしい。

「いいじゃんさー。ちょっと落ち込んでたんだから」

 きれいに完食してぐてーっとテーブルにつっぷす。

 ソフィアを見上げ、

「なあ。正直に懺悔する。聞いてくれる?」

 俺が一体どんな力を持ってるのか説明し、それをさっきどう使ってしまったのか告白した。

 ギョッとして顔を見合わせる兄たち。

 ……ソフィアに恐がられるかなぁ。

 怒られるのはいい。本物の未来がここにいるって証だから。でも嫌われるのは嫌だ。

 おそるおそるソフィアをうかがう。

 返答は実にアッサリしたものだった。

「へぇ、そう」

「ソフィアちゃんあっさりしてるね!?」

「二言で片付けた! ……あ、もしかして冗談だと思ってる?」

「いえ、本当だとは分かってますよ。ノアはあたしに嘘つきません」

 ソフィア……。

 じーん。

 信じてくれるのがうれしかった。

「でも怒らないんだね」

「十分反省してるみたいですから。単に怒って済むなら怒りますけど、それじゃ意味ないでしょう。大事なのは今後繰り返さないようにするにはどうすればいいか、対策することなので。ノア、消すことができたんなら、逆に戻すこともできるんじゃないの?」

「うん、たぶん。やってみる。で、きちんと平等に勝負するよ!」

「しなくていい。……あんたに限らず、もう誰とも結婚なんざごめんだわ」

 ん? 途中から小さくて聞こえなかった。

「ところで、これはたぶんそれ使ってやるべきことがあるって意味よね」

 前世大ファンだった漫画のことを指してるとすぐ気づいた。

 ソフィアもあれとの相似に気付いてたか。そりゃそうだ。

 なんでストーリーを知ってる人間がここに存在し、しかも特殊能力を持ってるのか。意味は火を見るより明らかだ。

「ソフィアは何か特別な力ある?」

「ないわね。どうやらあんただけのことみたいよ。別にチート能力なんか欲しくもないんでむしろうれしいわ」

 今後発現するかもだけど。

 訳が分からず首傾げてる兄たちは後で適当に説明しとこう。ほんとのこと話すわけにはいかないな。

「ま、あるもんは使えば」

「使っちゃっていいの?」

「なんで? あんたは悪用しないでしょう?」

 当然と言いたげにまっすぐ見つめてくる。

 …………。

 さっき使ってはいけないことに使ってしまった俺。でもソフィアは失敗は誰でもあるものだし、これで懲りたなら二度と繰り返すまいと信じてくれてる。

「うん」

 大きくうなずいた。

 ソフィアに恥じない生き方をするんだ。

 それからの俺は積極的に力を訓練することにした。もうこの力を不気味とも思わないし、恐れもしない。信じれくれたソフィアのために、恥ずかしくない人間になる。

 その結果、記憶を読む・消す他に読み取ったものを人に見せることもできると分かった。触れていれば即座に読めるから、ほぼリアルタイムで読心術みたいな使い方もできるようになる。

 あ、消してしまった男子の記憶はすぐに戻したよ。その後ソフィアに告白した彼らは見事に撃沈してた。ちょっとホッとした。

 でもさ、たった一回フラれただけであきらめるなんてその程度の気持ちだったのかと言いたくなる。何千回だろうが何万回だろうが、俺はまた後悔しないためにあきらめない。

「ソフィアー、夏だねっ。泳ぎに行こう! 巨大ガメの背中乗って浦島太郎ごっこしない?」

「一人でやってなさい」

 クールなソフィアを無理やり連れだした。

 城の池に巨大ガメがいてさー。乗っかったら楽しそうだなって。

「……ごぼごぼ」

 沈んだ。

「アホか――! ダイビングの装備つけろ! それか魔法でバリア張れ!」

 もっともな指摘しつつ、飛び込んで助けてくれるソフィア。

 それはそれは美しい飛び込みフォームだった。女神に見えた。

「あ、そっかぁ。ソフィア天才。フフフ、人魚姫が助けに来てくれたかと思った。綺麗でかっこいいんだもん。結婚して」

 俺、本物の王子ですよこれでも。

「そんだけ元気なら平気ね。もっかい水につかってこい」

 塩対応が素敵。

 何年もそうやってねばり続けた。

 同時にバッドエンド回避のための準備も始める。

 シナリオ通りなら兄さんの息子たちが戦争を引き起こすはずだ。それを防ぐには根本を変えるのが一番。二人が争うきっかけを作らなければいい。

 王子の立場と権力・人脈をフルに使い、国際的に犯罪を取り締まる期間を作り上げる。有名人を前面に出し、俺は一切表に出ないようにした。敵に警戒されず水面下で動くためには、俺の存在は知られてないほうが好都合。能力がバレても困るし。

 第三王子ノアはただの阿呆で無害。そう思われてるままでいい。

 こうして俺は人材と人手を、ソフィアは資金を準備した。

 二人っていう複数が転生したのはこのためだったんじゃないかなー。それぞれの得意分野で分担するため。

 そもそも世界をたった一人で変えられるわけないじゃん。

 どんだけ傲慢なナルシストだよ。世の中ってのは複雑で予想外で、そしてたくさんの人々がいて回ってる。一人のものじゃない。

 フィクションの世界で出てくる悪役だって独りか? 違うよな。必ず部下なり手下なりがいる。

 使う知識にしても手段にしても、誰かが考え出したもの。借り物だ。

 結局は誰かの力を借りてるわけ。ほんとに独りぼっちで世界を変えられるわけがないんだよ。

「俺たちは一人じゃなく二人だったからこそ―――なんだと思う」

 誰かと協力しろと。人の助けを借り、みんなの力で。だから『二人』だった。

 夫婦・家族がお互い協力しあって生きていくように、他者と手を取り合って世界を良い方向に変えていこう。


   ☆


「―――ってのが俺とソフィアのなれそめとラブラブ子供時代だよ♪」

「うん、絶対ちがうね」

 すかさずオスカーのツッコミが入った。

「なんども言うけどよくママ結婚してくれたね……」

「だから運命の赤い糸で結ばれてたんだってば」

「はいはい。妄想はもういいわ。ところで、アタシのかわいい従姉妹を傷つけたクソ野郎はどう始末したの?」

 ケヴィン兄貴がきいてきた。

「機関の刑務所に送ったよ。その中でも最も重犯罪者用の牢獄に入れてある。あえて生かしたまま魔具作りに利用することにした」

「?」

 オスカーが首をかしげる。

「魔力こめてある道具のことを魔具っていうだろ。例えばそこの明かり」

 天井の照明を指す。ランプのようだが動力は魔力だ。

「あれだって魔力を充電しなきゃ使えない。複雑で高度な魔具になればなるほど、強い力をちょこちょこ充電する必要があるんだ。それをやらせるんだよ」

 発電機みたいなもん。

「そんなのでいいの?」

「そんなのなんてレベルじゃないわよォ。なにしろ24時間365日ノンストップ。常に拘束されて指すら動かせず、吊るされた状態でずーっと吸われ続けるわけ。栄養も直接注入で食事なし、もちろんトイレ休憩もなしよ。意識はあるし目も見えてるぶん、かーなりキツイの。最高刑ね。いいじゃない」

 あははっと笑うケヴィン兄貴。すごみがある。

「ケヴィン兄貴、子供に詳細な描写しなくていいよ。まぁつまり死ぬまで続く労働さ。そうして作った魔具は売り、利益は被害者への賠償金にあてられる」

「ばいしょうきん?」

「悪いことした人が、被害者やその遺族にごめんなさいって払う罰金のことよ。β国王の場合、被害者の数と罪の重さから天文学的数値の判決がでてたわね。でも個人資産は国に押収させたのね?」

「まず枯渇してる国庫をどうにかして国民の生活を建て直さないと、難民の大量発生や内乱になるじゃん。それは避けたい」

「ああ、そうね」

「だもんでとにかく働かせまくらなきゃ貯まらないんだよ」

「それでも間に合うの?」

「計算では」

 天文学的数字の賠償金を貯める手段となれば相当ムチャぶりしたな、と二人とも察したようでそれ以上きいてこなかった。

 あ、もちろん被害者の記憶エンドレスで流れるのも続けてるよ。心が折れない程度に。

 そうそう、エリニュスも仲良くお仲間だ。隣で一緒に服役中。よかったなぁ、これで一生共に過ごせるぞ。望み通りにさ。

「……パパ、けっこうおこってるね」

「当然だろ。妻を悲しませたヤツには相応の報いを受けてもらわなきゃ」

「ふふ、その通り」

 クククとほの暗い笑み浮かべる俺たち。

「……ぼくもやろうと思ったけど、オーバーキルっぽいね。もっとすごいことやってるし」

「んー? ああ、俺を反面教師にしろ。それがたぶんきっと俺の役割だから」

「え?」

「見習っちゃいけない見本。それが俺の役目だと思うんだ」

 たぶんそのために俺はここにいる。

「―――さてと。そろそろソフィアの様子見にいこ。一日に何度も吐いてて心配」

 数日の間にソフィアの悪阻はぐんぐん悪化していた。

「食べ物の名前聞いたり映像見るだけで吐くレベル」

「きついわね。うちのステラは全然悪阻なかったから」

「ぼくもママのとこいくー!」

 オスカーの手を握り、ドアを開けた。

 ケヴィン兄貴が何か言いたそうな気がしたんで振り向くと、唇の動きだけで「そういえばエリニュスはどうした?」ときいてきた。

 俺はまばたきのみで答えなかった。

 正確に理解したケヴィン兄貴は肩をすくめた。

「なぁるほど? お前もなかなかいい性格してるな」

「こっちだって兄さんを殺されてるんだよ」

 同じく唇の動きで返す。

「そうよねェ」

 ケヴィン兄貴はここで声を出した。立ち上がる。

「アタシもお見舞い行くわ。ちゃんと負担にならないようすぐお暇するわよ」

「うん、ソフィアも喜ぶよ。ところでさぁ、ケヴィン兄貴、子供の名前なんだけど。女の子の名前考えすぎて絞れないんだ。どうやって決めた?」

「名づけ辞典とか買ったんでしょ? 参考にしたら? うちは音の響きやイメージで絞ったわねェ。あと、その年の人気ランキング上位はあえて外した。被らないように」

「あー、なるほど」

「人によっては色んなこだわりやお家ルールが存在するから、何がいいとも言えないのよねェ。親や先祖と同じ名前にするとか一文字もらうとか、兄弟姉妹で関係性を持たせるとか。あれ、そもそもまだ性別分からないんじゃなかった? 両方考えておきなさいよ」

「いや、絶対に娘だと思う!」

 断言した。

「パパ、根拠は?」

「ない!」

「ないの!?」

「つーか、直感? ソフィアそっくりの娘って最高だと思う~。それがパパーって走ってきたらもう……ふふふふふ」

 あああかわいい超かわいい。

 悶えてたらオスカーがスッと一歩離れ、ケヴィン兄貴がその背を押していった。

「さ、妄想驀進中のアホはほっといて行きましょーねー」

「うん。パパがママ好きすぎてキモイ」

「好きすぎるのは悪くないだろ!? キモいのはキモイかもだけど!」

「自覚あるんだ」

 あるよ一応。

「自分でもキモイと思ってるならやめなさいよ。妻そっくりな娘がかわいくて仕方ないのは分かるけどね。アタシもだから」

「だよな! それにソフィア似の娘のほうがいいと思うんだよ。俺そっくりな息子だったらヤバくね?」

「ヤバイ」×2

 誰からも反対意見は出なかった。






 

 

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