最終話

「結局言えなかったぁ〜!?」

「はい...正直ビビリました...」

今俺は掛橋と屋上にいる。ただこの状況を見られたら不思議に思われるだろう。掛橋は腰に手を当てながら鋭い目つきで俺を見る。本気で怒ってる時の顔だ。ちなみに俺はそのすぐ目の前で正座。

多分今なら成績優秀者と思われるのではないの思うほどに背筋がピンとしている。

「あんなに私に偉そうなこと色々言っといてビビって言えなかったなんて!」

「はい...おっしゃる通りです...」

これは俺が悪い、あの時言えなかった告白の言葉

俺自身こんなにも凹んだのは生まれて初めてだ。

「はぁ...私が甘やかしてたからこんなことになっちゃったのか...」

「いや...別に掛橋に甘やかされてた覚えは...」

「何か言った!?」

「なんでもないです...」

「もう決めた!私もう君と喋らない!君がしっかり告白するまで絶対に喋らない!わかった!?決めたからね!フン!」

そのまま掛橋は早歩きで屋上を後にする

こうなったらもうダメだ。こういう時の掛橋は決めた事を絶対に変えない。でもこういうところは自分が見習うべきなんだと思う。

やるしかない...迷ってる場合じゃないしそもそも言えなかった俺に迷う権利はない。

俺はすぐに教室に向かい筒井のところへ行く

「筒井、今日部活終わった後でもいいから図書室に来てくれないか?」

「え、う、うん...でもどうして?」

「...きてから教えるよ笑」

きっと筒井は困惑してるだろう。でも俺にはそういうしかなかった。


〜放課後〜

部活を終えた生徒達が校門から出ていく、陽はもう完全に沈み図書室の中だけが明るくなっていた。

「おまたせ、ごめんね遅くなっちゃって」

「ううん、全然大丈夫だよ、部活お疲れ様」

なんとなく互いに話す事が緊張する。

「...それで用ってなんだったの?」

「えーと、人を好きになるってその人のことをもっと知りたいって思う気持ちの事だと思うんだ」

「急にどうしたの?笑」

「いやだから、なんというか、俺はもっと筒井のことを知りたいと思ったんだ」

「えっ...?」

「俺は筒井の事が好きなんだ。」

沈黙が流れる。窓から入る風がカーテンを揺らした後頬に当たる。体が熱かったから少し涼しく感じた。

「...本を選んでる時、君が喜んでくれるかとかずっと考えてた。君の喜ぶ顔を見れるのがすごく嬉しかった。」

沈黙を破ったのは筒井だった。少し声が震えて聞こえる。

「初めて図書室に君がきて、慣れない図書室でキョロキョロ周りを見ながら絶対読みきれないような本を取ってすぐに寝ちゃう。他のクラスの人が知らない君を見れているようで嬉しかった。もっと君の事を知りたいと思った。」

徐々に彼女の頬が赤くなっていく、

「私も君のことが好き。2人で色んな所に行って、色々な事を経験してもっと君の事を教えてほしい」

筒井は一歩俺に近づき目をつぶって顔を近づけた

「え、えーと...」

「もう、恥ずかしいんだから早くしてよ」

そう言い彼女がキスをした

「まだまだ私の気持ち、分かってないね、これからゆっくり教えてあげる」

その日は一緒に帰った。お互いの事を話しながら

お互いの事をもっと知れるように

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楽曲妄想小説2 風のレッサー風太 @Futa1201

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