第8話

勝負の日、朝からドキドキしてなんとなく落ち着かない。頭の中でグルグルと告白の言葉が回っている。

「...ねぇ、何ソワソワしてるの?」

「え?俺そんなソワソワしてる?」

「うん、気持ち悪いくらい笑」

普通に傷つけられた。いやまぁこれは仕方ない。

自分も多分掛橋の立場だったらドン引きするだろう。多分それくらい落ち着きがない、逆に声をかけられて少し落ち着いた。

「今日告白でもするの?」

「うぇ!?そ、そういうわけじゃねーよ..,?」

「昔から思ってたけど嘘本当下手だよね笑」

「うるさい、こっちは今大変なの」

とりあえず1発チョップをいれる。

「痛ったぁ〜...もうこっちはデートのきっかけ作った恩人だっていうのに...」

「それとこれとは別、でもあれはありがとう」

「うん...頑張ってね」

本当に幼馴染がこいつでよかったと思う

〜放課後〜

図書室に向かっている途中で筒井に会った、突然のことで一瞬固まってしまう。

「あ、やっほー」

「お、おう、やっほー、」

「ん?どうしたのいつもより元気ない?」

「そ、そんなことないよ、そういや練習の方はどう?」

「うん、だいぶ良くなってきたよ!まだ色々不安はあるけどね」

「そっか...大変だなぁやっぱ」

(違う違うそうじゃないだろ!早く言わなきゃ!)

俺は立ち止まった、筒井はそれに気付いて止まり振り向く


「どうしたの?」

「なぁ...筒井...」

足は震え心臓の鼓動が早くなる

「...発表会楽しみにしてる!頑張れよ!」

「...うん!ありがとう!ほら早く図書室行こう?」

「そ、そうだな!」

俺は言えなかった。

その日は本の内容が全く頭に入ってこなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る