第6話

そして待ちに待った土曜日、俺は少し早めに家を出て駅に向かう楽しみすぎて少し早歩きになってしまう。駅に着き時計を見ると待ち合わせの30分前だった。

(流石に早かったか...)

そう思って壁に寄りかかり携帯をいじろうとして気づいた。隣にいる人に見覚えがある。

「...早くない?笑筒井」

「ん?わっ!いつの間に来てたの!?」

筒井は持っていた本を落としそうになる

白色の花柄のワンピース、やばい...可愛すぎる...

「...服、似合ってるね」

「ありがとう...嬉しいな//」

少し頬が赤くなる、可愛すぎて天使かと思う

「でもワンピースで大丈夫?」

「ん?なんで?ダサかったかな?」

「違う違う!ダンス用の靴だから試しで履いて動いたりできるのかなと思って!」

「あ、あぁ!そうだった!!」

いつもしっかりしているイメージのある筒井が頭を抱えながらアタフタしている。俺はとりあえず落ち着いたほうがよさそうだ。

「ま、まぁ激しく動かなきゃ大丈夫だよ!」

「そ、そうだよね!今日は控えめに動くよ笑」

2人とも顔を合わせて笑った

「じゃあ、行こうか筒井」

「うん!案内お願いします!」

それからは2人で色々な店を回ったしかしあまりピンとくるものがないのか決まらない。

「ごめんね...なかなか決められなくて...」

「全然いいよ!大事な買い物だしね」

「でも...時間的に次が最後だね」

「そうだな...じゃあ俺が昔行ってたところ行ってみる?」

「うん!行ってみたい!」

やけに食い気味に返事をする筒井、変に期待してるのかな、なかったらどうしよう...そんなことを思いながら向かった。

店につき入ると筒井がはしゃぎながら言った

「あ!あれがいい!私のイメージピッタリ!」

その靴は自分が中学生の時に履いていたものと全く同じだった。

(あれってレディース物だったのか...)

今になって気づき恥ずかしくなってしまう、

「私買ってくるね!」

「ん、お、おう!いってらっしゃい」


帰り道、筒井はとても満足そうでずっとニコニコしている。自分的には恥ずかしい過去を知ったので複雑な気持ちだが筒井が喜んでいるならまぁいいか、駅につき解散することになると急に寂しくなってきた。

「今日はありがとう!いい買い物できたよ!」

「それはよかった!少しでも力になれて嬉しいよ」

「本当に助かったよ!ありがとう!じゃあまた学校でね!」

「うん、またね」

やっぱりちょっと寂しいな、こんなに最高の1日が終わるって思うと...すると筒井が改札の所から踵を返してきた

「ど、どうしたの?」

「本当はねずっと楽しみにしてたんだ。一緒にお出かけできるの、また連れてってね、2人きりで」

そう言って微笑むと彼女は改札を抜けてホームに小走りで行ってしまった。

俺は叫びたくなった気持ちを無理やり抑えるように小さくけれども力強くガッツポーズをした。

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