第3話
今日もいつものように図書室に行こうとすると筒井に呼び止められた。
「ごめん!新入生発表会が近づいてきたから練習が増えちゃって今日は行けなさそうなんだ...」
「そっか...OK!頑張ってな、発表会楽しみにしてるから!」
「うん!ありがとう!!じゃあまたね!」
今日筒井は行かないのか、じゃあ行く意味ないかな、そう思ったけど何故か図書室に向かって歩いていた。習慣化してたのでなんも考えずに来てしまうようだ。
適当に棚から本を取り読み始める。
最初の頃より全然本を読むのが苦にならなくなった。なんなら楽しいと思えるくらいになった。
母からは多少心配されたが...
貸出記録を見ると筒井の名前が、流石だなと思ったと同時に他に筒井がどんな本を読んだのか気になった。筒井をもっと知りたい、そう思った。
短い小説は大体筒井の名前があった。しかし俺に勧めてきた本には筒井の名前がなかった。少し気になったがまぁ筒井の事だから家にあって内容を覚えていたとかだろう。
持ってきた本を片付けて窓の外を見ると筒井が賀喜と帰っていた。なんとなく2人とも元気がない2人の後ろから他のアイドル部の生徒が来て2人になにか伝え走り出した。2人も一緒に走って行った。
なぜかすごく気になって、急いで身支度を済ませ図書室を出て追いかけた。突然雨が降ってきたのでコンビニで折り畳み傘を買いアイドル部が向かって行った河川敷の方に行くとみんなが抱き合っていた。みんな涙を流しているんだろう目元が赤い。なんとなく邪魔しちゃいけないなと思った。
筒井のあんな顔を見たのは初めてだ。胸が苦しい気がした。
後日、クラスでよく話す幼馴染の掛橋に聞くと遠藤を励ましていたらしい。昼休みなこともあってサンドイッチを頬張りながら話す。超ざっくりの説明で少ししか分からなかったが仲の良さは伝わった。
「なるほどね、にしても掛橋は説明が下手だなぁ笑」
「なんだとー!ふーん?そんな事私に言っちゃってもいいのかなぁ?」
「な、なんだよ急に」
「ねぇ!あやめんのこと好きなんでしょ!」
飲んでいたお茶を吹きそうになる
「ゲッホ...なんだよ急に!」
「やっぱりそうなんだ!!あんまり生意気な口聞くとどうなるか知らないよぉ〜?笑」
「このチビッコめ...」
「あ!またバカにした!あやめんにさっきの事言っちゃおー!」
「わかった!ごめんって!」
アドバイスをくれることはなさそうだ。
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