くろ

@imot

第1話 から

ー夢は何?ー

大人は皆そう聞く。幼稚園に通う頃に将来の話をされる。ヒーローになりたい。お花屋さんになりたい。パパになりたい。子どもの頃はとても単純で絵本やテレビで影響される。だからか必ず親たちはこう言う

「子どもの夢を潰さないように」

いつしか年齢が上がるにつれ現実を見させて沢山の経験をさせることが親の役目。そしてまた問う。

ー夢は何?ー


小学生の私はコロコロと夢を変えていた。親が「出来ない」そして二言目には「友達が選んだからでしょ」と言った。はっきりそう伝えなくても私にはそう聞こえた。小学生の頃は歌を歌うのが好きだった。どれだけ頑張っても一生懸命に歌っても下手と言って母は認めてくれなかった。それでも好きだった。だからずっと続けてた。姉が死にたがりになって、母がよく私を頭ごなしに怒るようになったある日に私は死んだ。


馬鹿になった。「ちゃんとした大人」を目指したかった。唯一否定されなかった夢を目指した。

歌を諦めたくなかった。でも、大学には歌う場所なんてなかった。バンドじゃ駄目なんだ。

「ごめんねトミ」

目指した夢の場所でバイトを初めて分かりきってしまったことを上司から言われる。

「やめたら?嫌々やってるでしょ?」

知ってた。母がこの仕事につく夢を肯定してくれたからやっていた。夢は別にあったのに。そこなら沢山歌えたかなぁ...

ごめんね。大人になったらきっとまた歌えるから。ごめんね。本当の夢どっかいって消えちゃった。姉が母の罵倒に耐えれなくなって私、母を怒らせないように必死になってるよ。

ねえ。あの時となにも変わらない。わたしが我慢しなくちゃ。ユメもホンネもナヤミも全部。いっそ空っぽにしてしまいたい。


お願い空っぽにして。

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