エラム散策
アムリア帝国の首都、リゲル……
エラム第一の都市、きらびやか帝都、その帝都を隠れるように歩いていますと、
「ねえちゃん、ここらへんは危ないよ、俺たちみたいなのが、うようよしているからね」
そこへ帝国騎士が通りかかりますので、
「騎士様、どうかお助け下さい」
と、すがりついたのに……
ゴロツキが、
「騎士様、これは多少ですが」
と、何やら金貨を差し出しています。
「この女は上物、もっとよこせ」
金貨を一握りすると、騎士は私をゴロツキどもにつきだして、
「女、可愛がってもらうことだ、おまえら、うまくやれ」
そう云って、去っていきました。
名だたるアムリア帝国騎士がこれです。
帝国は腐っている、しがない娼婦の私でも判りました。
さて、遠慮なく暴れるしかないのですね。
バキ、ガキ、ゴキ……
私、こんなに強かったかしら……おほほほ……
ついでですから役に立たなくしておきましょう。
おもいっきり股間をけりつけておけば……
ざまあみろ……
いけません、黒の巫女様にお仕えする身というのに……はしたない。
リゲルから幾日も歩き、カルシュ国境を超え、学問と文化の町、カルシュにたどり着きました。
ここは、私の知っているエラムなのでしょうか?
町は綺麗で人も親切、学校があります。
私も通いたかった……せめてマリーには通わせてあげたかった。
私は一度、故郷に戻ってみたのですが家族は住んでいませんでした。
この後、中央神殿がある聖地シビルに足を向けます。
教団領の治安のいい事、しかも私のような娼婦もあまりいないよう……当然でしょうね。
その後、フィン連合王国の王都ロンディウム、ホラズム王国のジャイアールなど、名だたる大都市を旅しました。
ロンディウムではいい寄られましたが、私は黒の巫女様にお仕えする事になっている女ですから、丁重にお断りしましたが男前でした。
ジャイアールでは腹の立つ事がありました。
旅館に泊まっていると、ホラズム王族が押し入ってきて、無体な事をしようとしますので、思わずナイフで切りつけましたら喉をかき切ったようです。
私は王族殺害の大罪人として追われる事になりました。
この国は大嫌い!
でもそんな場合じゃあなさそうです。
ホラズムを脱出しようとロマニア大公国へ向かっています、途中で山賊の襲撃を受けている馬車に出会いました。
ホラズムの貴族の紋章がついています。
これは逃げましょうね、貴族なんて碌な者ではないし、私も追われているし……
「何をつまらぬことを、いっていますの?」
「アリスさん、なにしにここへ?」
「サリーさんのピンチと聞いて、見に来たのです」
「心配してくれたのですか?」
「だから、見に来たのですよーだ!」
そんな話をしている間にも馬車の護衛が逃げる逃げる……
「情けないですよ、あの人達、あれ、馬車の中からも護衛が……あぁ……やられちゃった。」
アリスさん、この口の悪さがなければ、良い子なのに……
でも、なれました。
馬車の中から女性が一人、飛び出てきました。
アリスさんが、
「いけない、小さい女の子もいる。」
それは本当にまずい、間違いなしに売られる。
あの地獄の日々が頭をよぎります。
無意識にブリチャード式魔法エアーライフルを構えて、撃っていました。
プシュと音がして山賊が倒れる。
二人の周りの山賊を倒して、とっておきの呪文、ストロングアーマーインと、となえて発砲しますと、衝撃波という物が発生して、目標の地点が破壊されてしまいました。
えっ、なにこれ!
「だからいったでしょう、サリーさんはエラムの最高魔法士レベルなのですよ」
「だからこの武器が使えるの、とにかく逃げましょう、面倒な事になりそうですから!」
アリスさんのいう通り、ここは黙って逃げるのがベストの選択ですね。
私達は荷物をまとめてと……
「お待ちください!」
私たちがとやかくいっている間に、やってきたのでしょうが不覚ですね。
あれアリスさん、消えますよ、この卑怯者!
唖然としている女性、そのすきに……
しっかりと抱きしめられていました。
「せめて貴女は逃がしません、お見受けしたところ、偉大な魔法士のようですが、感謝は受ける物です」
「はあ、でも私は……」
「すぐに判りました、王族殺害の極悪人と、でもあいつはホラズム一の嫌われる者、感謝する者がいても怒る者はだれもいません、王族といえどもです」
「ただ建前は破れないのも王族ですが、しかし私は貴族、歓迎させてもらいます」
「はぁ……」
「私はリリアン・ギッシュ、これは娘のダニエラ」
ダニエラさんが、
「このたびはありがとうございます、魔法士様、そしてようこそギッシュ伯爵家へ」
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