ブリチャード式魔法エアーライフル


 この街の名はリリータウンというそうで、私は家を一つもらいました。


 小さい家ですがとても機能的で、食事はカタログという物から選択します。

 写真という絵の、横の番号を食堂にある機械に打ち込むと、それが出てきます。


 それを調理するのですが、ほとんど温めれば食べられるようになっています。

 でもアリスさん、あまり説明してくれなくて……


 判らない食べ物が多いですね、時々アリスさんを捕まえて聞くと、教えてくれますが……

 この汚い色をしたチョコレートという物は……


 後で食べなかった事をとても後悔したものです。

 でも当時は、口ではとてもいえない物に見えて……


 ある時、アリスさんが、見た事の無い物を持ってきました。

「サリーさん、これは武器です、多分、エラムの中では最強の物です」


「サリーさんには、マスターがやってこられたら、お供をしてエラムの案内をする事になります」

「その時はマスターを守らなければなりません、貴女はエラムでいうところの『鍵の守護者』なのですよ」


 私が鍵の守護者……

 こんな私が伝説の……いえ、あり得ない、少なくとも私は、戦う事など出来ない、力もない……


「いえ、身体を再構成した時点で、貴女は類まれなる魔力が与えられています」

「第四上級序列といわれる力で、いまのエラムの最高魔法士レベルです」

「その力なら、このブリチャード式魔法エアーライフルを使えるでしょう、私が教えます」


 こうして私はアリスさんから、ブリチャード式魔法エアーライフルの使い方、魔法の使い方など色々教わりました。

 一年も練習しますと、私は自分でも驚くほどの力を身につけました。

 ブリチャード式魔法エアーライフルは、岩をも破壊出来ます。


 私が集中して最大出力を絞り出す呪文、『ストロングアーマーイン』ととなえると、銃全体が赤く輝きだし、銃口の先にあるものは粉々に、それこそ跡形もなくなります。


 身体も敏捷で、しかも何かに守られているのか、アリスさんが投げてきた石などは身体に当たらないのです。

 ただし、不思議にリリータウン内では一切、このような事は起こりませんが。


 私が戦い方を身につけたと認めてくれたのでしょう、アリスさんが、

「サリーさん、エラムを下見して来て下さい、マスターを案内するにも、世界を知らなければ案内出来ないでしょう?」


 そうして私はエラムを旅する事になりました。



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