第46話
「ま、まぁな……」
やばいな……なんか藍原凄い悲しそうな声だ……てか、そうだよな。
俺と彩葉のデートの話しなんて聞きたくないよな。
俺はそんな事を考えながら、申し訳無い気持ちで藍原に相談する。
「な、なぁ……その……藍原の予定さえよければなんだけど……明後日なんてどうだ?」
「え? 私は良いけど……湊斗は大丈夫なの?」
「大丈夫! 俺もその日は暇だから! 明日のうちに準備しておくから待っててくれ!」
「べ、別にそんな準備とかしなくても……」
「いや、行き当たりばったりだとなんか上手くいかなさそうだから」
「そ、そっか……じゃあ明後日ね」
「おう」
俺はそう言って藍原からの電話を切った。
「さて……次は藍原か……」
藍原とは何度もデートしたけど……なんか後半のデートは怒られてばっかりだった気がするな……今回はそんなこと無いと良いけど……。
俺はそんなことを考えながら、スマホで彩葉とは別のデートプランを考える。
「同じ映画っていうのもなんかアレだし……どこか別な……」
俺はベッドに座りながらスマホで人気のあるデートスポットの検索を続ける。
短いスパンで別な女の子とデートをするなんて人生で初めてなので、俺は少し緊張していた。
「はぁ……なんで藍原とのデートで今更緊張してるのかね……」
俺はそうぼやきつつもスマホで検索を続けた。
*
「……言っちゃった」
私は一人暮らしの部屋に帰ってきてから、湊斗君に取って貰ったぬいぐるみを抱きしめてベッドに寝転がっていた。
前にした告白とは違う、私は彼に本気で告白をした。
だからだろうか、今日はなんだか家に帰ってからも興奮が収まらない。
「はぁ……楽しかったなぁ……」
今日は本当に楽しかった。
楽しかったからこそ、私は勢いで湊斗君に昔の話しをし、告白をした。
正直、結果なんて分からない。
でも、私はなんだか今ここで言わなきゃいけない気がした。
「はぁ……湊斗君……なんて言うのかな……」
私はため息を吐きながら、ベッドの上でその事ばかり考える。
でも、どんな形でも湊斗君が私の事を覚えていてくれたことが嬉しい。
「うふふ……湊斗君、昔と変わってないなぁ……」
優しくて、思いやりがあって、誰にでも優しい……私はそんな彼を好きになったのだ。
はぁ……でも今日は失敗したなぁ……もっと一緒に居たかったのに……。
「はぁ……もう! これじゃあ残りの休日に遊びに誘いづらいじゃない!!」
告白してしまったため、なんだか連絡を取りづらい。
しかも私は、告白をした後、恥ずかしくなって、そのまま帰ってしまった。
電話をするのもなんだか気まずい……。
「うぅ……失敗だったなぁ……」
帰ってきてから私はその事ばかり考えていた。
「はぁ……会いたいなぁ……」
私はそんな事を考えながら、ベッドの上を転がり回る。
*
「へぇー、じゃあデートは上手く行ったんだ」
「まぁ……な」
彩葉とデートをした次の日、俺は直晄と買い物がてら牛丼やで食事をしていた。
「でも驚いたよ……まさかあの彩葉があんな美人になってるなんて……」
「なんか漫画みたいな展開だね」
「本当だよ、まさか告白までされるなんて思っても見なかったし……明日は藍原とデートだし……考える事が多すぎるよ」
「そんな悩みをモテるだけ幸せ者って事だよ」
「まぁ……そうかも知れないけど……」
「はぁ……そんな事より僕の悩みを聞いてくれよ……」
「あぁ、そう言えば今日はお前が誘ってきたんだったな。何かあったのか?」
「うん……実はね……」
直晄の話しはこうだった。
直晄が好きな人と居る時にいきなりラブレターを渡されたらしい。
しかし、その時の直晄の好きな人の反応で完全に自分に脈が無いことが分かってしまい、諦めるべきかどうかを俺に相談したかったという事らしい。
「なるほどな……てか俺、お前に好きな人が居るなんて初耳なんだけど!?」
「うん、言ってなかったし」
「いや、言えよ!! 俺は藍原の時相談しただろうが!!」
「いや、なんか湊斗はこう言う相談しても、良いアドバイスとかくれなさそうだったから」
「そんな俺に今相談してるのはどこのどいつだよ!!」
「まぁ、それはどうでも良いとして……」
「良くねーよ!!」
「僕はこのまま……あの人を好きでいてもいいのかな……」
「はぁ……まぁでも、まだ振られた訳じゃないだろ?」
「そうだけど……」
「白戸はそう言うとこあるからなぁ……」
「それは分かってたつもりだけど……ん?」
「どうした?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!! な、なんでそこで白戸さんが出てくるんだ!?」
「だって、お前の好きな奴って白戸だろ?」
「な、何を根拠に!! そ、そんな訳……」
「いや、なんか見てたらなんとなく? てか、お前が仲良くしてる女子なんて白戸くらいだろ?」
「み、湊斗にバレてたなんて……なんかショック……」
「どう言う意味だよ!!」
ガクッと肩を落とす直晄。
こいつ……俺を一体なんだと思ってるんだ。
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