第35話
初めは宙に浮きだした土塊が隙間を作りながらも球を大きくしていたが、次第に直径を小さくしながら隙間が埋まっていき、とうとうさっきの硬い球と同じ見た目になっていった。
そんな土団子をどう処理するか考えていると、突然その土団子の表面がウヨウヨと動き出した。すると土団子から5つの大きな突起が現れ、だんだんと形を変えていった。
変形したその姿は、まさしく人型だった。ゴーレムだ。腕がしっかりと五本指で、顔面まであった。ただし、大きさは人間の比ではなかった。
ゴーレムが出来上がると、そのゴーレムにガキが作った火球がドンドン集まっていった。するとゴーレムの表面の色が灼熱色になり、とんでもない熱気を放ってきた。火球の中にいた時よりも熱く感じた。
「・・・へえ、これが最終形態、ってわけか。」
俺は理解していた。これがガキの本気だということに。だとすると、分からせなくてはいけない。ボスの巨大化は、敗北フラグだということを。
先に向かってきたのは、灼熱ゴーレムの方だった。俺にのそりのそりと詰め寄り、ゆーっくりと右腕を掲げた。
予想通りすぎる。巨体ほど動きが遅くなるのは、どのコンテンツでもお約束だ。こりゃあ、楽勝以外の何物でもないんじゃないか?
そう思い、俺が警戒を解いてあくびをした瞬間、正面から重く、鈍く、そして焼ける衝撃が襲ってきた。
ゴーレムが、お約束をガン無視したスピードで俺を殴ったのだ。
俺は吹っ飛ばされ、闘技場の壁に激突した。それでも勢いは止まらず、闘技場の壁をある程度貫いた。
これらの事実を把握したのは、少し時間が経ってからだった。ゴーレムの一撃で気絶したからだ。
「ふざけんなよ、オイ・・・。」
事実を全て把握した俺は、そうつぶやく他なかった。
俺はひとまず壁の中から抜け出して闘技場に戻ろうとしたが、出口付近でゴーレムが待ち伏せしているのが見えた。
そこで、俺はこの壁の中でこの状況を打破する策を考えた。
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