第83話 一恵ちゃんのリベンジ(3)

当然だけど、二人でHなホテルなんて初めて。

直樹君は、前の彼女と経験あるみたいだけど、ホテルは初めてみたい。

部屋もたくさんあって、迷っていたら恥ずかしいので、適当に決めた。


ガチャ


「うわ~結構広いんだね~」


「本当だ。なんか、カラオケやゲームもあるね~」


しばらく、部屋の探索が始まった。

食事のメニューなんかもあり、本当に立派なホテルだ~と、Hなホテルを甘く見ていた。

一通り探索を終えて、二人でソファーに座って話し込んでいた。


「直樹君、仕事きつそうだけど大丈夫?」


「確かに、今の若者には、やりたくない仕事だね・・・」


「やっぱり危険なんでしょ?」


「そうだね~。道路の幅も狭くて、車もスピードを緩めないから危ないね。

車って使い方によっては凶器だよね、包丁みたいに。

それを分かってても、渋滞のイライラで、逆にスピード出すカス野郎もいるし。

ストレスばっかり溜まっていくよ、まったく・・・・・」


「そうだよね、凶器を振り回してるようなものだからね・・・・危ないな~」


「俺の話より、一恵ちゃんの方はどう?やっぱり勉強大変でしょ」


「一応、美術大学目指してるけど、簡単ではないよね。自分のやりたい事が、仕事で生かされれば一番の理想なんだけど、そんなに甘くはないよね・・・・・」


「でも、俺みたいに諦めたら、絶対に後悔するから、出来る事を少しでもやったほうがいい!絶対に!」


「直樹君の言葉には、説得力があるよ!!」


「まぁ・・・・経験者だからかもね(笑)」


1度踏み外したレールを、元には戻せないこの社会だからこそ、直樹君の言葉には

重みがある。

今もすごく苦しんで、頑張っている。

どこの授業よりも為になる、人生の授業を教えてもらってる、そんな気がした。


なにも気にせず、二人でいられる今の時間を止められればいいのに・・・・・・・

直樹君を好きになって良かった!と思う反面、身体と心の心配もさせられる。

心のケアは、私にでも出来る!と信じて、サポートし続けようと心に誓った。

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