第80話 3Kくらいしかできない
やっぱりだ。今日で3回目の面接不合格。
毎回のように、渋い顔をされて断られる。
人手不足とはいえ、会社は即戦力を求めすぎだ。
資格も学歴もない俺は、3K(危険、きつい、汚い)仕事しかできないのかも・・・
あまり親父としゃべらないが、めずらしく俺に声を掛けてきた。
「直樹、知り合いの建設会社に頼んでみようか?」
親父は、建設会社に勤めていて、その辺りには顔が広い。
ただ、親父と一緒な仕事をやりたくはなかった。
でも、そうも言ってられないくらい、俺はへこんでいたから、親父も声を掛けてきたんだろう。
「ああ。一応頼んでみて・・・」
不愛想な返事で返した。
親なりに心配してるのは良くわかる。
ただ、上手くいかない事ばかりで、投げやりになり、親にあたる。
まだまだ、俺はガキだな・・・・・そう思うには、かなりの年数がかかった。
学生は夏休み中。
一恵ちゃんは、大学受験で忙しいだろうと思い、余り逢ってない。
それよりも、早く仕事を決めないと、と言う焦りしかなかった。
次の日、親父の方から、建設会社を紹介された。
いわゆる、親のコネってやつで、簡単に就職が決まった。
建設会社って言っても、職種は色々あるが、道路工事をする会社だった。
よくドラマとかで、工事現場のシーンで、一輪車に砂などをスコッパで入れて運ぶとかあるけど、実際は機械仕事がメインで、人力施工は少なめ。
ただ、アスファルトの温度が170度くらいで、揚げ物の油並みに熱い。
上からは、容赦なく照りつける太陽。
気温は35度の猛暑日。
そんな中、170度のアスファルトをさわっているから、汗が滝のように流れて、最初の一週間は、体力の消耗が激しかった。
もともと、色白な俺の顔が、真っ黒になっていた。
一恵ちゃんが見たら、ビックリするだろうな。
もしかしたら俺だって気づかない可能性もある。
でも、親父のコネもあるから、やるしかない!と腹をくくっていた。
夏休みの終わりに、去年も行った夏祭りのお誘いを、一恵ちゃんの方から電話で言ってきた。
「今年は、直樹くんと二人で行きたいな♡♡♡」
「そうだね、俺も二人がいいかな!!」
そう言って、二人きりで夏祭りに行くことになったが、俺の顔を見て、どんな反応をするんだろうと、ちょっとだけ不安に思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます