第74話 二人の誕生日

二人で決めた誕生日会の日がやってきた。

俺の方は、誕生日を終えて17歳になった。

とにかく、車の免許まであと1年。

田舎だと、車は必需品。足が無いとどこにも行けない。

今時、コンビニも近くに無いから不便で困る。


仕事の方も落ち着いたから、久しぶりの連休をもらった。

だから、一恵ちゃんの家に泊まりになっても、全然大丈夫。

彼女の親が、新年会でいなくなるのは18時くらいだから、19時くらいに、一恵ちゃんの家に着くように、俺はバイクを走らせた。


ピーンポーン


「いらっしゃい~直樹君~~。今出るからね~~♡」


ゆっくり逢えるのは、本当に久しぶり。

何だかお互いに、照れながら、家へと入っていった。


「直樹君、ごはん出来てるから食べようね♡♡♡」


今日のメニューは野菜炒め。


「いただきます!!」


モグモグ


「どう?おいしい??」


「うまいに決まってるじゃん!!味付け最高!!」


「よかった~~。直樹君、次は肉じゃがにしようと思うんだけどどう?」


「あ~~~。俺あんまり肉じゃがって好きじゃないんだよね~」


「そうなの?珍しいね。手料理と言えば、肉じゃがだと思ってたんだけど」


「お菓子の甘いのはわかるけど、ごはんで甘いって言うのが許せないって言うか」


「よかった~。作らなくて」


「でも、一恵ちゃんが作るものは、全部おいしいから!」


「ありがとう♡♡♡」


ゆっくり逢えることも少ないから、いつまでも新鮮な気持ちでいられるのはいいが、やっぱり、もっと逢いたい・・・・・

きっと、一恵ちゃんも同じことを思っているはず。

ここが、学生と社会人の違いなんだろうな~と、つくづく思った。


ごはんを食べ終え、洗い物を済ましてから、彼女の部屋へと向かった。


「ほら、これが完成した絵だよ~♡」


あの場所で、二人寄り添っている、春夏秋冬の風景画になっていた。


「ホッ・・・よかった。裸じゃない!(笑)」


「直樹君だけ裸っておかしいじゃん!(笑)」


「だったら、お互いに裸だったら、つり合い取れるじゃん!」


「も~~~~う!直樹君のえっち~~~~~!」


いつまでも、こんな時間が続けばいいのに・・・・・・

楽しい時間ってのは、なんで早く過ぎるんだ~~~。

あっという間に、寝る時間帯となった。


「直樹君、泊っていくよね?♡♡♡」


「う・・・・うん。そのつもり・・・」


「それじゃ~寝よっか~♡♡♡」


同じ布団で寝るのは今回で2度目。

前は恥ずかしくて、彼女に背を向けていたが、今回は二人見つめ合っていた。


「直樹君、あんまり無茶しないでね、一人の身体じゃないんだからね♡♡♡」


「それって、どうゆう意味かな・・・・・」


「も~~~う・・・・理由は聞かないの!!!」


二人はキスをして、一恵ちゃんは、俺の左手を両手でにぎり締めながら眠っていった。


はやく左手が完治してくれればいいが・・・・・

細かい説明をすると、首からの神経に、骨が少し触ってしまって傷ついたらしく、

完治は医者でもわからないらしい。

このままじゃ、一恵ちゃんに、心配ばっかりかけてしまう・・・・・・

直る事を祈るばかりだった。

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