第69話 11月なのに熱い

11月ともなると、クリスマス準備で忙しくなってくる。

店の方に送られてくる荷物も増えてきて、検品作業が多くなってきた。

やる気充電された俺には、全くもって苦にはならなかった。


「先輩、その様子だと、問題は解決したっぽいですね!」


「え?わかる??」


「本当に先輩って顔にも出るし、行動にも出るから、わかりやすい(笑)」


「人を単純バカみたいに言うな(笑)」


「(でも、人の気持ちになると、鈍感なんだよね~まったく)」


「え??何か言った??」


「べ・・・別に何でもありません~~」


夕方ごろになって、一恵ちゃんが、お店を訪ねて来てくれた。


「直樹君。お仕事中にごめんね」


「あっ!一恵ちゃん。何か買い物にでも来たの?」


「うん。絵の具の補充でね。あと、ちょっと心配もあったから。ちゃんと寝れたかな?昨日って言うか、今日♡」


「大丈夫だよ~。このとおり、ピンピンしてるよ~~」


「私の部屋の、春夏秋冬がついに完成したんだ~~~!!!」


「あ~~~。まさか・・・・・裸じゃないよね?(笑)」


「そんな事を言うんだったら、裸にすればよかった(笑)」


「・・・それは勘弁して(笑)」


「だから、また家に遊びに来てね!!!

 それじゃ~お仕事の邪魔になるから、これで帰るね。またね~バイバイ♡」


そう言って一恵さんは帰っていったが、何か後ろから。、突き刺さる視線を感じた。


「11月で肌寒くなってきてるのに、なんか、ここだけ熱いですよね~」


「え?そう?暖房が利き過ぎてるのかな?」


「違います~!先輩たちが熱いって意味ですよ~~~!」


「そ・・・・そんな事ないよ・・・・・そう言えば、田口さんの恋愛はどうよ?」


「どうって?」


「好きな人に、告ったのかな?と思って」


「告るわけないじゃないですか~!」


「そう言えば、どんな奴かも教えてくれないし。同じ学校の人??」


「それは言えませんって~~~!」


「少しくらい教えてよ~~~。身長とかは高いとか?」


「まぁ~先輩くらいですかね~(本人なんですけど・・・・・)」


「痩せているとか?」


「先輩くらいですかね~(本人なんですけど・・・・・)」


「年上とか??」


「先輩くらいですかね~(だから本人なんだってば!!)」


「その人の性格とかってどんなの?」


「先輩も突っ込んで聞いてきますね~。どうして?」


「やっぱり気になるじゃん。田口さんにも幸せ掴んでほしいし。俺が、アドバイス出来る事なら、いくらでも相談に乗るから」


「性格は、まじめで頑張り屋さんで、なんでも優しく教えてくれる人かな~~」


「へぇ~~。すごくいい奴じゃん、なんか。」


「そうですね~~!!(自分を褒めてるんだけどね!!)」



わかってるとは思うけど、ちゃんと一恵ちゃんに、クリスマスは一緒に過ごせない事を話さないといけない。

正月を過ぎれば、二人の誕生日も近いし、その時でもお祝いすればいいか。

なんだか、子供の時と同じだ。

クリスマスと誕生日を一緒にお祝いするって言うことが・・・・・・


しかし、昨日と言うか、今日の、一恵ちゃんの家のお泊りで、背中に受けた2つの柔らかい温もりが、忘れられない。

気持ち悪いほど、俺の顔はニヤけて、テンションは、ずっと上がりっぱなしだった。

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