第58話 なんで??

学生は、夏休みが終わろうとしているが、俺には関係ない。

祭りの日の当日。

加藤さんは、浴衣を着てくるみたいで、すごくドキドキしていた。

俺と哲は、近所だから、待ち合わせの場所に一緒に出かけていった。


「直~、仕事決まったんだって?」


「まぁ一応ね」


「サービス業って辛くない?変な客もいてさ」


「確かに、いちゃもん付けてくる客とか、しつこく値引きしろって言う客もいる」


「大変だな・・・・・・・・・・・・でも、これで少しは落ち着いた感じかな?」


「ちょっと、色々ありすぎたからな・・・・・・・・・」


「一恵ちゃんとはどうよ?」


「まだ付き合ってないけど、友達以上だとは思ってるよ~」


「早く、告ってしまえばいいのに!」


「言われなくても、告るつもりだよ~!」


そう!こんな最高のシチュエーションなんて、そうそう無いから、俺は気合が入っていた。

待ち合わせ場所は、加藤さんと何度かした、駅前の公園。

高鳴る気持ちを抑えつつ、公園へと足を運んでいた。


すでに、残り4人の姿がそこにあり、女性陣はみんな浴衣姿だった。


「遅いよ~、哲君と横井君」


大体、仕切るのは、哲と二月さんカップル。

俺は、加藤さんの、浴衣姿に目を奪われていた・・・・・・・・・


「こんばんは、加藤さん・・・・・・・・すごく似合ってるね・・・・・・・」


「横井君・・・・・・・ありがとう・・・・・・・」


女性の浴衣姿ほど、まぶしい物はないが、よりいっそう・・・加藤さんはまぶしい


今日こそ、決めてやる!と気合十分だった。

なんとか、二人になれるチャンスを作らなければ!

一番の理想は、花火を二人で見ながらの告白。

強引にでも、加藤さんを連れ出そうと、頭の中で思い描いていた。


「それじゃ~みんな、いこうか~~」


哲と二月カップルを先頭に、みんな歩き出した。

いつもだったら、2:2:2 で、俺は加藤さんと一緒のはずなんだが、加藤さんは、吉村さんから離れようとしなかった。


俺の思い描いてたシナリオと違って、少し焦っていた。

夜店を回っている時も、俺一人で、後をついていく感じで、加藤さんは、吉村さんカップルにべったり寄り添い、歩いていた。


俺、加藤さんに、嫌われるような事したんだろうか?

なんだか、急に不安になってきた。


そうしているうちに、花火が上がる時間になっていた。

結局、加藤さんは最後まで、吉村さんカップルから離れずに、花火が終わり、みんな解散していった。


帰り道、哲も疑問そうに、俺に話してきた。


「直、一恵ちゃんと何かあったの??」


「ん~~~~~~~・・・・思い当たるふしがない・・・・・・・・」


「さすがに、俺たちからは何も言えないからな~」


「う~~~ん・・・・・・なんでだろう・・・・・・・・・」


「まぁ、直接、加藤さんに聞いてみるのが、一番早いと思うな」


「そうしてみるよ・・・・・・・・・・・」


こうやって、すごく楽しみで、気合が空回りした、夏祭りは終わっていった。

とにかく、今すぐにでも、ラインして聞きたかったが、その日は聞く勇気がなく、しばらく様子を見てみようと、俺は、かなり落ち込んでいた。

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