第51話 退院からリスタートへ

病室で、昼食を食べ終わってから、しばらくすると、先生が訪ねてきた。


「横井さん、今週末に仮退院で、2日ほど家で過ごしてみてください。問題なければ、来週には退院になりますので」


「はい、わかりました」


予定通りに、2か月くらいで退院できそうだった。

実際、まだ30%くらいは、痛みとシビレは残っているが、それは通院しながら治していくらしい。


それにしても、長い入院生活だったと、しみじみ思った。

人間は一人では、生きていけない事がよくわかった。

先生や看護師さん。あとは、リハビリ担当の松本さんに、精神担当の加藤さん・・

みんなに助けられて、やっとここまでこれた事に、本当に感謝しかなかった。


次の日のリハビリに、松本さんにも報告をした。


「松本さん、仮退院が決まりました」


「そうですか~。それじゃ~リハビリも、もう少しですね~」


「本当にありがとうございました!!」


「私なんかで、力になれて良かったです!でも、寂しくなっちゃいます・・・・・こんな事、言っちゃいけないんだろうけど・・・・・・・・」


「最初の方は、やっぱり辛かったですけど、松本さんのお蔭で、楽しくリハビリ出来ました」


「そう言ってもらえると、私にも自信がつきます!」


「松本さんなら大丈夫ですよ。親身になって取り組んでくれますし」


「横井さんも、退院後、頑張ってくださいね!!もう、ここに戻ってきたらダメですよ~~(笑)」


「た・・・・・たぶん・・・大丈夫です(笑)」


次の日に俺は、仮退院で自宅へと、とりあえず帰っていった。

2か月近く、病室だったから、少し懐かしいく感じられる自分の部屋。

ダラダラと過ごしていると、めったに鳴らない俺のスマホが鳴った。

加藤さんからの電話だった。


「もしもし、横井君。今日お見舞いに言ったら、仮退院してるって;;」


「ごめん、加藤さん・・・・・そう言えば言ってなかったよね・・・・さっき自宅の方に着いたんだ」


「そっか~。でも、とりあえず良かった・・・でも、まだ完治じゃないんでしょ?」


「まぁ、しばらくは通院しながらになるけど、これでやっと、リスタート出来るよ」


「うん。私も応援してるから!!!がんばってね!!!」


「ありがとう!!!落ち着いたら、今度こそ、みんなでまた、遊びにいこう!!」


「そうだね、遊びにいきたいよね~。私、待ってるから!!」


「そうだ加藤さん。絵の方は描けるようになったかな?」


「うん!!横井君の魔法のお蔭かな(笑)。次のコンクールに向けて描き始めたよ~」


「あの場所の絵?」


「うん、私は、あの場所にこだわっていきたいんだ~」


「そっか~。じゃ~今度でも覗きにいこうかな(笑)」


「フフフ。なんかHな言い方だね~(笑)」


「そ・・・・・そんな言い方だったかな~?(笑)」


「冗談だよ~~冗談~~(笑)」


「でも、また、加藤さんの絵も見たいから、必ず行くと思うよ~」


「うん・・・・・・・。待ってる・・・・・・・♡」


「横井君、まだ完治してないんだから、ムリしちゃダメだよ~~!!」


「わかってるよ~。焦らずに、だね!」


加藤さんは、身体の事を第一に心配してくれる。

俺から見ると、もう、友達以上の関係だとは思っているが、その先に行くには、やらないといけない事がある。

とりあえず、学生じゃないから、就職しないとね・・・・・・・・・・



仮退院の2日が終わり、一般的な生活も出来そうだったから、退院が決まった。

最後のリハビリに、松本さんに、お世話になったお礼を言った。


「いままで、本当にありがとうございました!!!」


「横井さん、まだ完治はしてないですから、ムリは厳禁ですよ~~~~」


「はい、わかってますよ~~~(笑)」


「私は、初めての患者さんが、横井さんで良かった~!褒めてくれたりで、私も、少しは成長したかな?って思ってます。」


「お互いに、これからも頑張っていきましょうね!!」


「ありがとう!!。後、何度も言いますけど、戻ってきたらダメだからね!(笑)」


「わかってますって~~(笑)」


こうやって、リハビリも終わり、退院となった。

まだ、細かい作業には難があり、完全に完治するのかどうかも、不安は残っている。

でも、立ち止まってもいられない。

リスタートして、自分に出来る事を頑張っていくしかないと、心に誓った。

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