第52話 デートみたい
退院したからといって、すぐに行動できることが出来ない。
とにかく、足が無いと、どこにも行けない。
まず、壊れたバイクを修理に出し、リハビリに自転車に乗ったりで、それなりに忙しい日々が続いた。
貯めていた貯金も、少なくなって、みじめに思えてきた。
この鳴らないスマホも、元をたどれば、靖枝さんに進められて買った物。
なんだか、妙に腹立たしく思い、解約してしまった。
結局、あれ以来、1度の連絡もなく・・・・・・・・・・・・
まぁあれが、別れる口実だったんだろうと確信した。
リハビリで自転車に乗ってたら、ふと、あの場所に加藤さんが居るかも?と思い、自転車を走らせた。
俺からしてみれば、会社の帰り道だったから、余り行きたくはない所ではあるが、加藤さんとの思い出の場所と思えば、なんてことなかった。
遠くからだったが、人影が見えた。
近づくと、加藤さんだと確信した。
「加藤さん!がんばってるね!」
「あっ!!!横井君!!!ビックリした~~~。だって自転車なんだもん」
「まだ、バイクには乗れないし、修理中だしね」
「そっか~~。まだ完治はしてないもんね」
「もしかしたら、加藤さんが居るかな~と思って、覗きにきた(笑)」
「あっ!!Hな言い方だね~~~(笑)」
二人で笑い、すごく、安らかな時間だ。
「俺も、描いてみようかな、ここの風景を。何か鉛筆とか無いかな?」
「本当に~!!あるよ~~。・・・・・・・はい!」
加藤さんが、鉛筆と紙を渡してくれた。
「俺、真剣に描くから、黙ってるかも(笑)」
「横井君の絵か~~~すごく楽しみ~~~。上手いんだろな~~~!!」
「ハードル上げないでよ(笑)」
「横井君もハードル上げるじゃん(笑)」
それからは、会話もなく、二人真剣に描いていた。
あまり外に出てなかったからあれだけど、もう7月で日が落ちるのも遅く、夕暮れ時になると、結構いい時間になっていた。
「あ~~~~。もうこんな時間だ。最後まで描けなかった~~~~~」
「ほうとだ。もう帰らなきゃだね」
「明日、また来てもいい??」
「もちろん、いいよ~~!!!それで、見せてくれないの??」
「まだ途中だから、ダメ~~~~~(笑)」
「え~~~~~ケチ~~~~~~(笑)」
「じゃ~また明日くるね!!!」
「うん!!明日、待ってるね!!♡それじゃ~~バイバイ~~~」
夕暮れ時に、二人は帰っていた。これぞ青春って感じがした。
次の日、ちょっと遅れて、あの場所へと向かった。
「あっ!横井君、遅いよ~~。それと、スマホが繋がらなかったんだけど??」
「最近、解約したんだ・・・・・ちょっと思いがあってね・・・・・・」
「え~~~~~。横井君と連絡取れないじゃん~~~~」
「俺って、メールやラインしないから、あまり必要性が無いんだよね・・・・」
「私がしたいから、スマホ持ってくれないかな??お願い!!!」
加藤さんに、すごくお願いされてしまった。
「じゃ~、明日、一緒に買いに行ってくれたら、買う!」
「いくいく!!明日土曜日だし、ちょうどいいね(ニコッ)」
「俺、機種とか、まったく分からないから、加藤さんと同じやつでいいや~」
「そうなの?私は教えやすいから、その方がいいけど」
「登録の仕方とか、ほんと、ようわからん!!(笑)」
「それじゃ~、明日12時に、この前と一緒の、駅前の公園でいいかな??待ってる♡」
「OKで~す。今日は、ちょっと遅くなったから、絵は今度にするね」
「そうだね、昨日は遅くなっちゃったからね(笑)」
「それじゃ~~、また明日ね」
「うん!!明日ね!!バイバイ~~~・・(明日はデートみたいだね♡ボソッ)」
最後にボソッと言ったことが、聞き取れなかった。
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