第42話 なんで?生きている?

ゴールデンウィークに入り、みんなは浮かれてるだろうな・・・・・・・・・・・

私は、横井君が心配で、絵を描く事もままならず、何もできなかった。

ただ、連絡を待つことだけしか・・・・・・・


すると、光武君から、連絡が入った。


「あっ!一恵ちゃん!直が目を覚ましたって!!」


「ほ・・・・・本当に?!・・・・よかった・・・・・本当によかった・・・・」


「まだ詳しいことは、俺も分からないんだけど、身体はそこまで酷くないみたい」


「そ・・・・・そっか・・・・・・・本当に・・・・よかった・・・・・・・・」


「少したってから、お見舞いに行こうな」


「そ・・・・・そうだね・・・・・まだ落ち着いてないと思うからね・・・・・」


「それじゃーまたね」


「うん・・・・・・・連絡、ありがとね・・・・・・・」


安心で、私は、ボロボロに泣いていた。

まだ、詳しい事がまったく分からない。それでも、早く、会いたいと思っていた。





んっ?!なんだか、すごくダルイ・・・・・ここはどこだ??

すごく、目覚めの気分が悪く、俺は目を覚ました。

少し、状況が呑み込めず、熱っぽい身体と、首と、左腕の痛みが激しかった。


ああ・・・・・俺・・・・・・事故ったんだった・・・・・・

生きてるんだ・・・・・・なんで?・・・・・


身体の痛みより、心の痛みの方がひどく感じられた。

生きる希望がない・・・・・またネガティブな考えで、自分を追い詰めていた。


看護師さんが、先生を呼んだらしく、先生から話を聞かされた。


「気分はどうだい?って言っても、良くないだろうね。ヘルメットで頭は守れるけど、首をやってしまうんだよね、バイクは。

幸い、そこまでスピードは出てなかったんだろうね、打撲程度で済んだのは。

ただ、ちょっと、首の神経に骨が触っちゃっててね、緊急手術をしたんだ」


「そうですか・・・」


何を言われても、ただ、返事をする事しかできなかった。


「正直、どこまで完治するのか分からないが、左手のしびれが、残るかもしれない。焦らず、ゆっくり、治すんだ」



集中治療室に入っている間は、家族以外の面会は禁止されていた。

まぁ、どうせ誰も来ないだろうと、思ってもいた。

もし、靖枝さんが来たところで、俺の気持ちは変わらないし、もう、終わった事として、すぐに返してしまうだろう。


仕事の事も、無断欠勤して、事故って入院・・・・・もしかして、クビかもな・・・

もうどうでもいいよ、あんなクソ会社!こっちから辞めてやるよ!

どう転んでも、いいように考えられないほど、心は、腐り、扉は凍り閉じていた。


3日くらい経っただろうか。俺は、集中治療室から一般病棟へと移動させられた。

とにかく、病院では何もすることがない。

スマホのアプリゲームでもしていれば、暇もつぶせるだろうが、何もしていない。

テレビも見ないし、ただただ外を見ながら、ボーっと過ごしていた。


一般病棟になってから、家族以外の面会も大丈夫になり、連休中だと言うのに、上司の田中係長が、見舞いというか、報告に駆けつけてくれた。


「大丈夫か?横井君」


「ええ、まあ」


「ちょっと言いにくいんだが・・・・・スマン!横井君を守ってやれなかった」


俺は察した。


「会社の方は、クビなんでしょ。田中係長」


「本当に、スマン・・・・・・・一人で仕事押し付けたりして・・・・・・・・」


「別にいいですよ。田中係長が悪いわけじゃないですから」


「会社の方にも、言ったんだが。自分の力不足で・・・・・・申し訳ない・・・」


「覚悟もしてましたし、もう、どうでもいいですよ」


何度も、頭を下げた、田中係長は本当に良い人だ。

それより、もっと上の上司が言いに来い!こんなことまで、下っ端にやらせる会社の体制に、すごく腹が立った!!!


さぁ。仕事もクビ。彼女もいなくなり、何が楽しい・・・・・・・・・・・・・・

なんで、こんな社会で、俺は生きてるんだ???生き地獄ってやつですか・・・・


そうですか、そうですか・・・・・・・・


靖枝さんも言ってたっけ。頑張っても、ダメなものはダメって。

また、中学時代の繰り返しだ・・・・・と、進歩のない俺の心の中は叫んでいた。


少し経ってから、また面会者が現れた。

今にも、泣きそうな顔で、入ってきたのは、加藤さんだった。

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